ビートルズが来日した昭和41年。兵庫県姫路市で開かれた「姫路大博覧会」に合わせて、自治体が運営する初めての市営モノレールが走った。未来の都市交通の手段として期待を背負って登場したが、開業直後から利用客が伸び悩み、わずか8年で運行はストップ。54年に赤字まみれで廃止に追い込まれた経緯から、「負の遺産」として市民から冷ややかな目で見られがちな存在だった。ところが近年、姫路モノレールの持つ価値を見直し、「文化財」や「土木遺産」として再評価しようという機運が高まりつつある。今年で開業から50年。中間駅が入っていたビルが老朽化により解体工事が本格化するなど、ゆかりの遺構が次々と姿を消しつつある中、姫路モノレールの「復権」の動きは果たして軌道に乗るだろうか。(荒木利宏)
現市長の父が導入
41年に開催された姫路大博覧会の目玉の一つとして導入されたのが、姫路モノレールだった。
会場の手柄山駅と姫路駅を結ぶわずか約1・8キロの路線だったが、本来は、この区間をテストケースとして同市の臨海部に広がる工業地帯、さらに遠い将来ながら日本海側の地域までモノレールで結ぶという壮大な計画が構想されていたという。