《「つながり」の力はビジネスでも、実社会で生きる上でも大事だとよくいわれる。その意味では、東武鉄道ほど「つながり」を大切にする鉄道会社は、なかなかないのではないだろうか。このつながりが、東武の弱点を克服するだけではなく、多くの利用者にも恩恵をもたらしている。[小林拓矢,ITmedia]》
東武鉄道のターミナルといえば、伊勢崎線……最近では、スカイツリーラインと呼ぶことも多い浅草駅と、東上線の池袋駅である。
浅草駅は、ターミナルとしてはちょっと弱い、と思えるところがある。駅自体が狭く、長い編成の列車が、入れないようになっている。普段は、6両編成の普通列車と、やはり6両編成の特急列車を中心に使用されている。なお、朝の時間帯には区間急行もある。
北千住方面からやってきた6両の普通列車が、およそ10分に1本程度入線する。このほかに、特急がやってくる。もちろんそれだけで、旺盛な需要をさばいているわけではない。
関東私鉄最長の複々線
北千住から北越谷までの間には、JR以外の私鉄では最長距離の複々線がある。この複々線を走行する列車をみると、普通列車の緩行線は東京メトロ日比谷線、区間準急以上の急行線は東京メトロ半蔵門線が、それぞれ走っている。つまり、都心からやってくる人たちを、途中から合流させているといえる。もしくは、運びきれない伊勢崎線沿線の住民を、東京メトロに協力してもらって、都心に送り込んでいるとも考えられる。他社の力を借りて、通勤輸送の円滑化に力を入れているのだ。