昭和62年春に国鉄が消滅し、JRが発足してから、ちょうど30年。移行当時に走っていた国鉄型車両は、大部分がJR投入の新車に取って代わられた。しかし「湘南色」「特急色」といった国鉄時代のカラーリングの現役車両も残っている。それらの車両を使ったイベント列車の運行も開催されており、ファンの目を楽しませている。
外装に昭和の香り
戦後の高度成長期、首都圏や関西圏の通勤輸送を担った103系。国鉄の通勤電車の定番ともいえた、おなじみの車両は分割民営当時、JR北海道、四国を除く旅客4社で約3400両も在籍していた。ところが、JRになると次々と姿を消し、東日本、東海では全滅、西日本と九州に約200両いるだけになった。
貴重な国鉄型車両。中でも人気を集めているのは、国鉄時代の懐かしい塗装を施され、「昭和」の香りを漂わせているベテランたちだ。JR移行後、車両のデザインは各社に任され、生き残った国鉄車両にも独自の塗装を行うケースが多くなっているからだ。そんな状況の中、岡山で起こった「奇跡」がファンを驚喜させた。絶滅が秒読みだった「湘南色」が存続することになったのだ。
「残して」の声に応えた
JR西日本は平成22年から、国鉄時代から残る車両の外装を、地域ごとに1色に統一。京阪神は除き、中国地区は黄、京都地区は緑、和歌山地区は青緑に順次塗り替えられてきたのだ。岡山電車区に配置される200両以上の対象車両もほとんどが黄色単色となり、国鉄時代のカラーリングは、緑とオレンジの2色の湘南色に塗られた115系の6両(2本の3両編成)だけとなった。