水中に生息する藻類を使ったバイオ燃料の開発を企業が加速させている。トウモロコシやサトウキビなどからつくる燃料とは異なり食料の需給に影響せず、人類の未来に有望なエネルギー源とみているためだ。問題は既存燃料より高くつくコスト。技術改良でどこまで価格を安く抑えられるかが実用化への課題で、各社の知恵と技術力が試されている。
自動車部品大手デンソーは、熊本県天草市の中学校跡地の約2万平方メートルの土地を借り上げ、藻をたくさん増やすための実証プラントを4月に稼働させた。長さ20~80メートルのプールで培養するのは、藻の一種である「シュードコリシスチス」。
シュードコリシスチスは200分の1ミリほどの単細胞生物だ。光合成をして体内に油をため込む性質があり、それを取り出し精製することでバイオディーゼル燃料ができる。成長が速く、丈夫なため屋外での培養に適しているという。
デンソーでは、まず屋内の水槽で藻を増やし、一定の濃度になったら屋外の施設に移し、藻から油を取り出している。天草は日照時間が長く、地下水も豊富なため、培養地に適しているという。今後、2018年に年2万リットルの燃料を生産する技術を確立する計画だという。