◆2500時間超配信
「gorin.jp」を制作・運営するプレゼントキャストは、08年北京大会からこのサイトを設けている。しかし、リオは明らかにこれまでと趣が異なる。プレゼントキャストの須賀久彌社長は試みをこう話す。「これまでライブストリーミングは1日2チャンネルのみ、ロンドンでは405時間程度だったが、リオではあらゆる競技を対象に2500時間以上と大幅に配信を増やした。大量にある映像で日本をオリンピック一色にする試みは、2020年をいかに盛り上げていくかにつながっている」
ところで、こうしたインターネットの権利と従来の放送権とはどんな関係になっているのだろうか。日本民間放送連盟の本橋春紀業務部長は「最近の契約はほとんどの場合、インターネットなどを含む『メディア権契約』として結ばれている」と論文に書く。ネットをめぐる権利契約も進み始めている。
IOC自体、リオの閉会式終了直後から視聴可能な「オリンピックチャンネル(olympicchannel.com)」の運用を開始、携帯端末やパソコンへの五輪情報、映像を提供し始める。アクセスは無料だ。対象はテレビを見ない層、SNSで情報を取ることに慣れた世代。オリンピック、スポーツ離れ阻止への対応である。
ネット、とりわけ携帯端末との連動はスポーツ報道のありようを変えるだろう。小覧もJリーグと世界的な動画配信大手、英国パフォームとの放送権契約について紹介したが、結局17年から10年間、契約金総額2100億円もの大規模契約となった。携帯端末の広がりなど、ネットによる生中継の広がりへの期待が大きい。すでに米国では大リーグがネット配信に着手、大きな収入を生んでいる。
いずれスポーツ報道はネットが主役になっていく…。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)