◆相乗効果に期待
テレビとの関係においても大きな変化がみられた。
米国での放送権を有するNBCは陸上、水泳、体操など、米国で人気のある競技以外はテレビで生中継せず、ネットによる中継を実施。特設サイトは20億ページビュー(PV)、ストリーミング映像の視聴は1億5900万回を記録した。注目は、テレビ視聴も増えたことだ。携帯端末やパソコンでの視聴がテレビ視聴にも好影響を与え、総視聴者数は史上最多の2億1940万人を数えた。
ロンドン五輪では日本でもNHKや民放各局がサイトを特設した。しかし、サイト自体の存在を知る人が少なく、NBCほどの効果をあげ得なかった。
NHKにしても民放にしても今回、テレビ中継のなかで盛んにインターネットサービスの利用を視聴者に呼びかけている。テレビとネットの相乗効果を期待する様子が見て取れよう。
NHKは20年東京大会を意識し、実験的に総合テレビで放送する番組を同時にネットでも流す「同時配信」を始めた。特設サイトでは、地上波で放送されない競技種目を現地音声のみの生中継、ライブストリーミングで約2000時間、ハイライトを約2300時間配信する。
民放も132社の共同サイト「gorin.jp」で、ライブストリーミングを約2500時間、2000本以上のハイライト動画を流す。いずれも、携帯端末やパソコンで情報を得る若い年齢層を狙った試みだ。