LNG事業の海外シフト加速、資源安ショックでてこ入れ (2/2ページ)

2016.7.7 05:00

三菱商事や三井物産などが参画するインドネシアのタングーLNGの既存陸上液化プラントなど。建設コストが安い今が好機と、今月1日に第3系列の拡張投資を決めた(三菱商事提供)
三菱商事や三井物産などが参画するインドネシアのタングーLNGの既存陸上液化プラントなど。建設コストが安い今が好機と、今月1日に第3系列の拡張投資を決めた(三菱商事提供)【拡大】

 また、三井物産の安部慎太郎副社長は「販売強化と両輪で新興国のガスインフラシステムの構築にも乗り出す」と明らかにした。具体的には、新興国で輸入基地のほか、ガス火力発電所、ガスを国内に配給するパイプラインなどのインフラ構築に取り組み、LNGの需要創出を図る方針だ。

 LNG販売はこれまで国内販売が中心だったが、国内需要は原発の再稼働などで先細りが避けられそうにない。国内の電力やガス市場自由化により、電力、ガス会社も自ら調達や権益確保に動いている。三菱商事の平野肇常務執行役員は「余剰分を伸びる海外に転売するなど機動的に需給調整する工夫で顧客のニーズに対応したい」としている。

 一方、LNGの世界需要は20年には14年比40%増の3億5千万トンに拡大する見通し。船を改造した浮体式の貯蔵・再ガス化装置の導入で安価な輸入が可能になり、昨年パキスタンやエジプト、ヨルダンが輸入を開始した。インドネシアやマレーシア、中南米も輸入が増える見込みだ。

 三菱商事と三井物産は今年3月期に資源安に伴う減損損失計上で初の最終赤字に転落しており、立て直しが急務となっている。

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