工業製品の安全性や互換性などを確保するための基準である「日本工業規格(JIS)」の安全基準は、企業や学校などで使う画一的なオフィス家具が主な対象。
一定の安全基準を満たした製品に表示される「SGマーク」を認証する財団法人製品安全協会は「子供用たんす」の基準を設けているものの、昭和59年にまとめられたもので「内容が古く、現在はほとんど適用されていない」(同協会)。家具メーカーでつくる日本家具産業振興会も業界として独自の基準を設けていない。
■ニトリは自社基準の厳格化を検討
家庭用の家具については、メーカー各社が自主的に安全性を確認しているのが現状だ。家具量販大手、ニトリは転倒事故を防ぐため、高さ1メートル以上の家具に転倒防止用の固定金具を付属し、販売時に店員が取り付けを促している。イケアのリコール対象に高さ1メートル未満の製品が含まれていたため、ニトリは自社基準の厳格化も検討しているという。設計段階で家具を台形に近い形にし、重心を下げるなど倒れにくくする工夫もしている。
家具大手、大塚家具は独自基準に従い、安定性や構造など最大26項目の品質確認をしている。「たんすの扉や引き出しを全て開け、その際に、転倒しないかどうかも確認している」(同社広報)