■家具には法定基準なく 安全対策はメーカーで
製品の欠陥で利用者が死亡するなど重大事故が発生した際、国はメーカー側に回収命令や行政指導を行う。しかし、今回、経済産業省は「すぐに人命が危険にさらされるなどのリスクは少ない」として静観する構えだ。
消費者庁も「たんすなどの家具はイケア製に限らず、子供が上るなどすれば転倒する危険がある」と注意を呼びかけるに留まっている。
薬や自動車などを除く生活用品をめぐるリコールは、安全性の不備を察知して企業側が自発的に回収に乗り出す場合と、重大事故などの発生を受けて国が法令に基づき回収命令を出すケースがある。
国内で流通する製品について、法的な強制力がある安全基準は、消費生活用製品安全法など4つの法律に基づく基準のみ。対象は電気・ガス製品やベビーベッド、ライターなど491品目に限られ、過去に死亡事故が起こるなどした製品に限られる。「国が全ての製品に安全基準を設けることは難しく、各社に安全性を確保を求めていく」(経産省)との考えから、家庭向け家具に法定基準はない。
■任意の基準も適応難しく…
メーカー側が任意に第三者機関で審査を受け、安全性の認証を得るケースもあるが、家庭向け家具を対象にした基準は普及していない。