安価でおしゃれとして人気のスウェーデン家具大手、イケアのたんすが転倒し子供が死傷する事故が相次ぎ、同社が北米でリコール(回収・無償修理)した問題で、国内の消費者にも不安が広がっている。国内には家庭向け家具の安全基準がなく、品質管理は企業側の自主性に委ねられているのが実情で、不備が露呈した格好でもある。国内メーカーには安全基準を見直す動きも出ている。(玉崎栄次、油原聡子、中井なつみ)
■北米で子供6人が死亡 たんすの下敷きに…
米消費者製品安全委員会(CPSC)は6月28日、イケアが「MALM」などの商品名で米国とカナダで販売したたんすなど3560万個のリコールを発表した。
2014年2月にペンシルベニア州の男児(2)が倒れてきた6段たんすとベッドの間に挟まれ死亡。その4カ月後には、ワシントン州の男児(1)が3段たんすの下敷きになり亡くなっている。1989~2016年にかけ、6人の子供が死亡している。
たんすの説明書には、留め具で壁に固定して使うよう求めており、固定しなければ倒れる恐れがあるとしていた。
CPSCはこれらの製品について、「米国の業界自主規制に合致していない」としているが、日本で流通する対象商品についてイケア・ジャパンは、「回収予定はない」としている。