セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長の交代の提案が発端となったセブン&アイ・ホールディングスの経営体制をめぐる混乱は、鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)と、鈴木氏を支え続けた村田紀敏社長が経営トップから退き、井阪氏を社長とする集団指導体制を構築することで収束した。
鈴木、村田両氏は、取締役を退いたものの、名誉顧問や顧問の形で残留、鈴木氏に近い後藤克弘取締役常務執行役員が、新設の副社長に昇格するなど、事態の早期収拾を優先した格好だ。
7日の取締役会で鈴木氏が提案した井阪氏の交代人事案が否決された後、指名・報酬委員会のメンバーらが新体制案について断続的に協議を続けた。
鈴木氏は新体制の人選には直接関与しないと明言したが、自身に反旗を翻した井阪氏の社長昇格に直前まで強い不満を示すなど、調整は難航した。
村田氏が取締役として残留する案も出た。だが、「(鈴木氏とともに混乱を引き起こした)村田氏が留任することは関係者の理解を得られない」(社外取締役の一人)との声も根強く、顧問に落ち着いた。
井阪氏はコンビニ事業ではトップとして好業績を牽引(けんいん)したが、苦戦が続く総合スーパー事業などの経験はなく、グループトップとしての実力は未知数だ。
後藤氏らと一致団結し、グループの改革をいかに進めるかが問われる。