忍び寄る親の余命、財産の相続、同族企業ならば後継者選び-などが引き金となって、親子間で激しい確執が生まれ、互いに取り付く島すらない状況に陥ってしまったケースをよく耳にする。有名企業の“お家騒動”を伝える報道は枚挙にいとまがないし、個人レベルの話に目を向けてみても、実は、恨みつらみといった感情を長年にわたって親子双方が胸にため込んできた結果、しまいには関係がギクシャクしてしまった…という方も、あるいはいるかもしれない。
関係修復の糸口に
「そもそもおやじと息子なんて分かり合えるものではないでしょう。生涯にわたって無理ですよ」。すごい頑固者だったという亡父の在りし日の思い出を念頭に、自信たっぷりに強調してみせたのが演技派俳優、石倉三郎(69)だ。親子の愛情や家族の絆といったワードを並べたて、登場人物たちはハッピーエンドを迎え、めでたし、めでたし-というありがちな物語の運び方については、あまり感心しない様子が見てとれた。