■【クルマの未来 VWの挑戦】(中)日本独自の広告戦略に着手
「皆さんが少しでもゴキゲンになって帰ってもらえれば幸せです」
5月16日から2日間、東京・お台場の特設会場で開催された「フォルクスワーゲン(VW)フェスト」で、日本法人VWグループジャパンの庄司茂社長はこう観客に呼びかけた。
「ゴキゲン♪ワーゲン」
今年4月から日本独自に始めた広告やブランドイメージを伝える際のスローガンは、VWのタブーを破ったものだ。
ワーゲンはドイツ語で「車」そのものを意味する。「大衆の」を意味するフォルクスと一体でなければ、本来の意味をなさない。それでも庄司氏は「響きもいいし、口ずさんでもらいやすい」と押し切った。独自のブランド改革の背景にあるのは、日本市場に対する危機感だ。
独本社主導から転換
かつて、VWの各国の販売戦略はドイツの本社が主導する形で行われた。日本の輸入車販売で15年連続の首位を獲得した。しかし「ビートル」や「ゴルフ」など一部車種は認知度が高い半面、ブランド全体でのイメージは他の輸入車に比べて「薄かった」という。