ワイシャツであれば1着1万円前後の商品を中心に展開する、「アッパーミドル(中流の上)」の消費者層を得意としてきた国内の老舗アパレル各社が苦戦を強いられている。カジュアル衣料品店「ユニクロ」などに代表される低価格のファストファッションと海外の高級ブランドのはざまで、目立った特徴を打ち出せず顧客離れが進んでいるためだ。オンワードホールディングス(HD)は異業種との連携、ワールドは大規模な店舗閉鎖などのリストラに乗り出したが、成長軌道に乗せる次の一手は見いだせていない。
異業種連携で活路
「国内のファッションのモノづくりの基盤が細っているのが現状で、何とか活気を取り戻したい」
6月22日、オンワードHDの保元道宣社長は、総合免税店のラオックスとの共同出資会社設立会見でこう強調した。
ラオックスと提携するのは、訪日中国人旅行者に強みを持つ同社の基盤を生かす狙いだ。ラオックスの店舗にオンワードの日本製衣服を置き、経済成長とともに消費拡大が見込める中国をはじめとするアジアへの進出の足がかりとする考えだ。