2度目の経営危機を招いたシャープの高橋興三社長が社内の求心力低下に苦しんでいる。巨額赤字と新中期経営計画の発表後、社内で上映した緊急ビデオメッセージでは「期待を裏切る結果に申し訳ない」と謝罪に追われた。希望退職の募集について社内文書で「痛みを伴うものもあるが、やり切らなければ明るい未来を描くことはできない」と全社一丸となった再建を呼びかけるが、社内の反応は冷ややかだ。リストラ優先で成長戦略が不透明な再建策に失望と不安が広がっている。(松岡達郎)
相次ぐ社内説明
5月14日午後。シャープのイントラネット(企業内通信ネットワーク)に「気持ちを新たに、そしてひとつに」と題した高橋社長のメッセージが掲載された。
同日午後3時すぎ、平成27年3月期連結決算と新しい中期経営計画を発表する記者会見を社内にリアルタイム中継するにあたり、自らの思いを社員に訴える狙いがあった。
「皆さん、高橋です」と始まり、「きっと非常に厳しい質問がたくさん来ると思うが、しっかり見てください。その上で一丸となり、『もう一度シャープを再生させる』という強い気持ちを皆で持ちたい」と呼びかけた。