経営危機に再び直面するシャープの経営陣に対する社内の求心力低下が懸念材料として浮上している。14日に発表した中期経営計画は、国内で3500人規模の希望退職を募ることを盛り込む一方、危機を再燃させた「トップ3」はなぜか経営陣に残留。再建策の肝だった「液晶事業の分社化」は直前になって取り消された。会見で、高橋興三社長は「社員とどう向き合うかは今日から始まる大きな課題」と述べたが、“捨てられない経営”への不満で社内の人心離れは加速している。(織田淳嗣)
削除された再建策の目玉
「あれはなんだ。どうなっているんだ」
14日、新しい中期経営計画を発表する記者会見の映像をイントラネット(企業内通信ネットワーク)で見ていた亀山工場(三重県亀山市)所属の社員から、怒りの声があがった。液晶事業の分社化について、高橋社長が「現時点で考えていない」と否定したためだ。
関係者によると、12日の時点まで、発表資料の「カンパニー制の導入と狙い」という項目に「将来の分社化も視野に」という文言が入っていた。ところが、発表の直前になって資料を作成している「構造改革実行本部」が削除したという。