ソニーのテレビ事業子会社、ソニービジュアルプロダクツの高木一郎社長(56)は28日、「ウォークマン」といった音響機器などソニーのAV事業を10月に分社化してできる新会社の社長に自らが就任するとの見通しを明らかにした。技術などが密接に関連する両子会社のトップを高木氏が兼務し、映像と音響を組み合わせた商品戦略を円滑に進める狙いがある。
フジサンケイビジネスアイなどとのインタビューで述べた。高木氏は2014年7月、音響・録画機器などAV事業を統括する「ビデオ&サウンド事業本部」の本部長に就任。分社化後についても「私が社長をやるつもりだ」と述べ、引き続きトップを務める考えを示した。「音と映像は切り離せない。緊密な関係を築いていく」とした。
ソニーは今年2月、全事業を分社化する中期経営計画を打ち出したが、14年7月にソニービジュアルとして分社化され、15年3月期に11年ぶりの黒字を達成したテレビ事業は成功の先例といえる。高木氏は今年4月の社長就任前は、副社長として黒字化に向けた事業効率の強化を主導しており、そのノウハウをAV事業の分社化に活用する狙いもあるとみられる。
高木氏はテレビ事業について「商品構成を高価格帯に寄せている」として、今年度販売する8割以上が高価格帯になるとの見通しを示し、「画質・音質などで他社との差異化を徹底し、黒字を継続したい」と強調した。