セブン-イレブンの高収益を支えてきた仕組みには学ぶ点が多い。しかし、それがマーケティングのすべてなのであれば、水越氏が問題提起を行う余地はなかったはずである。では、マーケターや経営者にはどのような市場への挑み方が残されているのだろうか。
このもう一つの行動原理として、アメリカの起業家研究の大家、サラス・サラスバシ氏が、「エフェクチュエーション」という概念を提唱している(Effectuation, Edward Elgar)。サラスバシ氏は、「フランク・ナイトの不確実性」を引きながら、エフェクチュエーションのあり方を次のように説明する。
市場とは不確実な場である。未来の結果はわからない。だから、マーケティング・リサーチが必要となる。しかし科学的なマーケティング・リサーチが、あらゆる不確実性に有効であるかはよく考えてみる必要がある。