東京都内に建つ目立たないビル。その一室に、日本全国の電力供給を支える重要施設が入る。送電線の運用を日々管理する電力系統利用協議会(ESCJ)の「給電連絡所」だ。
室内には、電力各社管内の電力需要をリアルタイムで知らせるパネルを設置。当直2人の5班体制で24時間監視し、電気の過不足が生じないよう調整している。万一、気温上昇や発電所のトラブルなどで需給が逼迫(ひっぱく)した際は、電力会社はESCJに他社からの緊急融通を依頼する。
ただ、国内の周波数は東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツと異なる。東西間で電力融通させるには、3カ所ある周波数変換装置を通す必要があり、最大でも計120万キロワットにとどまる。装置の故障などで東京電力からの送電が止まれば、最悪の場合、関西電力の予備率は1.8%にまで低下。地区ごとに輪番で送電をやめる「計画停電」も視野に入る。