電力各社、原発維持なるか コスト回収困難、原賠法も重荷 (1/2ページ)

2014.6.12 07:30

九州電力の川内原発1号機(左)と2号機。再稼働に向け、原子力規制委員会の安全審査を受けている=鹿児島県薩摩川内市

九州電力の川内原発1号機(左)と2号機。再稼働に向け、原子力規制委員会の安全審査を受けている=鹿児島県薩摩川内市【拡大】

 電力小売りを全面自由化する改正電気事業法が11日、成立したことで、電力各社は建設や安全対策に巨額の投資を必要とする原発を維持できるかという課題に直面することになる。自由化に伴う競争で電気料金の引き下げが求められる中、原発にかかる費用を従来のように料金で回収するのが難しくなるためだ。原発事故が起きた際の責任を事業者が無限に負うと定めた原子力損害賠償法(原賠法)も大きな重荷となっており、電力各社は国との責任分担を明確化することを求めている。

 「国策民営の新たな在り方を検討し、原子力事業が長期に安定的に運営されるよう、事業環境を整備することが不可欠だ」。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は11日、改正電気事業法の成立を受けてコメントを発表し、自由化後に原発事業を支える施策を政府に要望した。

 100万キロワット級の原発1基の建設費は、出力が同規模の液化天然ガス(LNG)火力発電所に比べて3倍の約3000億円とされ、安全対策にも多額のコストがかかる。これらの費用は人件費や燃料費などとともに「総括原価方式」で電気料金に算入されてきたが、この仕組みは自由化後、経過措置期間を経て廃止される見通しだ。

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