【消費増税 5%→8%】(上)
100%転嫁でも「営業益5分の1」の試算
4月1日の消費税率引き上げまで1カ月を切った。しかし、いまだに価格改定の方針を明確にできていないケースも多い。特に税率引き上げで節約志向が再び高まった場合、大打撃を受けるとされる外食産業や食品メーカーは、ぎりぎりまでライバルの動向を見ながら駆け引きを続けている。
「梅酒の価格を3種類くらいのグループに分けてみようか…」。2月下旬の午後、居酒屋「和創作 空(くう)」(東京都新宿区)を経営する有間賀寿夫代表は、キリンビールの営業担当者と話していた。
価格改定へ苦悩
有間氏は都内で「空」を含めて3店舗を経営している。うち2店は消費税を含めた総額表示を採用。コーヒー付きの1000円ランチ、夜のコースでは4000円ちょうどなどのメニューでは「増税分を転嫁できない」と頭を抱える。メニュー構成を変えて価格を維持する方針だが、満足感を維持し、利益を確保することは容易ではなく、まだ検討が続く。