米グーグル、アップルなどIT(情報技術)業界の列強が自動車業界との結びつきを強めている。モバイル通信で地図情報をやりとりするなどクルマの「走る端末」化は急速に進んでおり、近未来の成長市場を取り込もうと競争が激しくなりそうだ。
一方、秋波を送られた自動車側も開発費用を抑えられるメリットは大きいが、クルマを動かす“頭脳”まで握られれば、製品化の主導権を失いかねないだけに、IT企業との距離の取り方に頭を悩ませている。
「われわれはエレクトロニクス産業と密接に仕事をしている。グーグルとともに開発を始め、彼らの卓越したモバイル技術をクルマに持ち込みたい」。独アウディのウルリッヒ・ハッケンベルク研究開発担当取締役は今月7日、米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「インターナショナルCES」の記者説明会でこう強調した。
陣営づくり
車のIT化技術の確立に向け、グーグルはスマートフォン(高機能携帯電話)向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」による包囲網を作り始めた。