「糖類ゼロの従来品『ストロングゼロ』でもまだ甘い、という方の声に正面から応えることで、ビール専門の“辛党”からも支持をいただいている」。マーケティング担当の井島隆信氏(35)はこう手応えを話す。
サントリーのチューハイは、時代の荒波にもまれながらも着実に進化しつつある。
今から10年以上前、若者のビール離れに頭を痛めていた業界各社は、チューハイの商品開発に活路を見いだした。サントリーは平成15年、フルーティーで低カロリーな缶チューハイ「カロリ」を投入、若者や女性の取り込みに成功した。
17年には、マイナス196度の極低温の液体窒素で凍結、粉砕した果実を使う「-196℃」を発売。果肉だけでなく果皮のエキスも溶け込んだ“果実の丸ごと感”を前面に打ち出し、さらなる女性層への訴求を図った。
しかし、20年秋のリーマン・ショックでデフレ志向が強まり「進化の方向性に一大転機が訪れた」(井島氏)。