競争相手と位置付けている首位の米GEは火力発電事業の売上高が2兆円を超え、利益率でも日本勢を引き離す。海外展開も早い段階から進めている。
みずほ銀行産業調査部の大野真紀子調査役は新会社について「高効率ガスタービンなどの技術力は欧米勢と十分戦える」と期待感を示す。一方で、新興国の案件などは価格競争も激しくなるため、「早期にコスト競争力を高める必要がある。量で上回るGEに対抗するには、現地のパートナー企業を活用するなど新たな戦略も検討すべきだ」と注文を付ける。
三菱重工の宮永社長は「本格的に統合の効果が出るのは3、4年後だろう。競争力ある形にしていかないといけない」と語る。今後は生産拠点の効率化なども課題になる。
これまで日本メーカーは半導体分野などで事業統合に踏み切ったが、結果的に競争力を失うケースも少なくなかった。
今回の三菱重工と日立との火力発電事業の統合はいわば世界で戦うための「攻め」の統合だ。統合作業に手間取れば、射程に入りかけた欧米大手の背中が再び遠ざかりかねない。(田村龍彦)