「正しい胸のサイズを知らない人が多い」というのは下着売り場の定説だが、自分の体にきちんと向き合う傾向が強まったといえるかもしれない。
≪FROM WRITER≫
天使のブラが誕生した90年代でも「胸が大きいのは恥ずかしいこと」という風潮があったとは驚きだ。ただ根底には、かっこいい胸を望む気持ちもあったはず。天使のブラのヒットには、機能性によりそうした女性の潜在ニーズを引き出したことがある。
身体もファッションの一部として捉える1990年代の女性の行動は、男性目線というより「自分のため」。長らく「おしゃれは我慢」が定説だったが、天使のブラは機能性プラス「付け心地」にこだわる点が、女性主役の商品性を物語る。2000年以降も「肌見せ」や「見せる下着」など、女性が身体を装いとして楽しむ傾向は続く。ただし薄着でも機能性下着で暖かく、下着が見えることすら着こなしにするなど「やせ我慢」をしないのは当たり前。90年代に生まれた女性主役の消費の流れは、さらに強まっている。(滝川麻衣子)