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生き方編 苦しみを乗り越えていく強さに心ひかれる
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美容家、IKKO(いっこー)さん自身の書道作品「繪」(提供写真)
じめじめした日が続いていますね。雨の多いこの季節は、おうちに籠もって読書やDVD鑑賞を楽しむ方も多いのでは。私もその一人。自宅で大好きな作品を見るのが、最高のリラックスタイムです。今日は、これまで私の心を揺さぶってきた映像作品たちのお話をさせてください。
私は若い頃から映画が大好きでした。上京したばかりの頃は、修業していた美容院の近くに映画館があって、3本立てで上映していました。少しでも時間があれば、必ずそこへ通っていましたね。
その頃に見て涙が止まらなかった映画といえば、『イエスタディ』(ラリー・J・ケント監督)。ベトナム戦争を背景にした青春ラブストーリーです。詳しいあらすじはこれから見る人のために控えますが、相手に対する究極の愛が描かれています。相手を思うからこそのある選択…「自分だったら、ここまでできるだろうか」と深く考えさせられました。
『トーチソング・トリロジー』(ポール・ボガート監督)はニューヨークのゲイバーで働く青年が主人公です。幼少期からの家族との葛藤や、愛する者との別れ。愛の形を深く描いて、何度見ても胸をギュッと締め付けられます。
ソ連からアメリカに亡命したバレエダンサーの激動の人生を描く『ホワイトナイツ/白夜』(テイラー・ハックフォード監督)、ミャンマーの民主化運動を背景にしたアメリカ人女性の決死の逃避行『ラングーンを越えて』(ジョン・ブアマン監督)も心に残る名作です。
日本映画にも大好きな作品があります。昭和初期の高知の遊郭を舞台に、芸妓たちの人生模様を描いた『陽暉楼(ようきろう)』(五社英雄監督)です。この作品ですばらしいのは、女優たちの着物の着こなし。芸妓たちがずらっと並ぶシーンは壮観ですよ。特に池上季実子さんがすばらしい。川原でたたずむシーンがあるのですが、その美しさは筆舌に尽くしがたいものです。時代設定が昭和初期ですから、和髪(和装に合わせる髪型)のアーティストとしても、髪型の勉強にもなりました。
この作品は内容もすばらしい。陽暉楼は女たちが命をかけて戦う場所。「女は競ってこそ花。負けて落ちれば泥」。このせりふ、すごいと思いませんか。悲しみを背負って生きていく女の哀愁に心ひかれるのです。
昭和初期は、女性の立場が低く、女たちが耐えていた時代。それでも生き抜いていく女たちの姿は「抑圧から生まれる美」。人生は順調にはいきません。とかく思い通りにならないものです。でも、その中からすばらしいきらめきが生まれていく。
韓国ドラマもお気に入りです。最近はまっているのは、『ヨメとお嫁さま』。全40話を一週間で見切ってしまったほどです。同じ家に嫁いだはずなのに、兄嫁と全く違った扱いを受ける主人公が自立していく姿に胸打たれます。
こうやって挙げていくと、私が心ひかれる作品には、共通点がありますね。思い通りにならない人生の苦しみと、その中から逃げずに乗り越えていく強さ。「ああ、こうやって生き抜いていくのだな」と勇気をもらえるのです。
愛を込めて IKKO(美容家 IKKO(いっこー)/SANKEI EXPRESS)