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同盟強化はビジネスライク きょう日米首脳会談 尖閣に安保適用明言へ

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同盟強化はビジネスライク きょう日米首脳会談 尖閣に安保適用明言へ

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 政府が国賓で迎えた米国のバラク・オバマ米大統領(52)は4月23日夜、専用機で羽田空港に到着。安倍晋三首相(59)は、東京・銀座のすし店にオバマ氏を招き、非公式の夕食会を開催した。一方、オバマ氏は来日前の一部メディアとのインタビューで、中国が周辺海域で威圧的行動を続ける尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、「日本の施政権下にあり、(米国の日本防衛義務を定めた)日米安全保障条約5条の適用対象だ」と初めて言及した。オバマ氏は24日の首脳会談でも明言する方向で、両首脳は強固な日米同盟をアピールする。最大の懸案である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉について、両首脳は政治決断も視野に早期の妥結を目指している。昨年(2013年)12月の安倍首相による靖国神社参拝でギクシャクした両国は、安全保障や経済をめぐる実利的な国益の一致を背景に、今回の米大統領訪日で「ビジネスライクな信頼関係の強化」を目指すことになりそうだ。

 「彼はビジネスライクだけど、それは仕事をするという意味では別にいい」

 安倍首相は最近、周囲に淡々とこう漏らした。そこには米大統領を18年ぶりに国賓として日本に迎える高揚感はない。昨年(2013年)2月のオバマ氏との初会談前日に「明日はがちんこ勝負になる」と意気込んでいたのとは対照的なぐらいだ。

 すし店で信頼醸成

 オバマ氏は外交辞令や会談でのジョークなどを好まず、本題だけを話したがることで知られる。安倍首相が23日夜、東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」にオバマ大統領を招いたのは、万事にビジネスライクなオバマ氏を夜の街に引っ張り出すことで、首脳同士の良好な関係を内外に示す狙いがある。ただ、それが小泉純一郎元首相(72)とジョージ・ブッシュ前大統領(67)のようにケミストリー(相性)が合い、肝胆相照らす両首脳の個人的な信頼関係構築につながるかというと、「初めからそこまで期待していない」(外務省幹部)のが本音だ。

 もともと市民運動家(人権派弁護士)出身でリベラル色の濃いオバマ氏と、名門政治家の家系に生まれて帝王学を学んできた安倍首相とでは共通項が少ない。

 ただそれだけでなく、安倍首相が距離を置く背景には、デービッド・キャメロン英首相(47)、アンゲラ・メルケル独首相(59)をはじめ「世界中でオバマ氏とケミストリーが合う首脳はいない」(政府高官)との認識がある。

 靖国参拝でギャップ

 一方、オバマ氏が日米関係を重視するのは、アジアの経済成長を米国経済の追い風にするには、地域の安定が不可欠だからだ。尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出、北朝鮮の核開発といった脅威が存在する中、集団的自衛権の行使容認問題など安全保障や経済の改革を進める安倍首相を「一緒に仕事ができる現実主義者」ととらえ、信頼を置いてきた。

 それだけに昨年(2013年)12月の安倍首相の靖国神社参拝の知らせを受けたオバマ政権内には“期待”を裏切られたとの思いが広がった。安倍首相は中国や韓国との摩擦回避を優先させて参拝を控えるとみていたからだ。こうした日本への不信感は、参拝の真意を説明する日本の努力もあって、最近は「かなりよくなった」(日米外交筋)。3月にはオバマ氏自身の仲介で首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)との初会談も実現し、「米側も日韓の歴史問題を取り上げる必要がなくなった」(日米外交筋)こともあり、関係修復段階はほぼ過ぎ去った。

 TPP決断焦点

 日米同盟は日本にとって死活的に重要であり、米国にとっても日本はアジア重視戦略の要だ。それを実利的に示すため、オバマ氏は日本到着に先立ち、まず尖閣諸島を同盟国としての防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象だと明言した。安倍首相もTPPをはじめ日米間の諸課題の実務的な前進によって、同盟強化を図っていくとみられる。(SANKEI EXPRESS

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