SankeiBiz for mobile

【This Week】(4月21~27日) オバマ大統領来日 TPPや安全保障どう対応

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの政治

【This Week】(4月21~27日) オバマ大統領来日 TPPや安全保障どう対応

更新

 バラク・オバマ米大統領(52)が4月23日、3年半ぶりに来日する。安倍晋三首相(59)とオバマ氏は24日の首脳会談で中国の軍事的台頭や北朝鮮の核開発、緊迫化するウクライナ情勢などを受け、日米同盟を基軸とした安全保障政策の協力、強化を打ち出す見通し。その一方、担当閣僚レベルで協議が難航している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では首脳会談での大筋合意を目指し、ぎりぎりの調整が続いている。

 TPP交渉では、日米は(4月)21日に東京で事務レベル協議を開き、打開策を探る。(4月)18日までワシントンで行われた日米閣僚協議では、日本が関税撤廃の例外としたい農業の重要5項目で合意に至らなかった。安倍首相は(4月)19日夜、閣僚会議を終えて帰国した甘利明(あまり・あきら)TPP担当相(64)らと東京都内の私邸で会談。政府関係者によると、安倍首相は「主張すべきは主張して、引き続き交渉加速を」との指示。首脳会談で大筋合意ができるかどうか予断を許さない状況だ。

 日米首脳会談では日本政府が準備作業を進める集団的自衛権の行使容認についても言及する方向。(4月)5~7日に来日したチャック・ヘーゲル米国防長官(67)は、日本の取り組みについて「歓迎し、努力を奨励し支持する」と踏み込んで評価した。オバマ氏がどう表現するかもポイントの一つだ。

 共同文書では、「日米同盟強化の再確認」を明記。尖閣諸島(沖縄県石垣市)をはじめ東シナ海で海洋進出を膨張する中国と、ウクライナへの関与を強めるロシア双方を念頭に「力による現状変更を認めない」との文言を盛り込む見通しだ。安倍首相としては、中国が領有権を主張する尖閣諸島が日本の施政権下にあり、日米安全保障条約の適用範囲になるとの米国の立場を再確認したいところ。日米両政府では、共同記者会見か共同声明のいずれかで言及すべく、調整を続けている。

 これに対し、オバマ米大統領は昨年(2013年)12月の安倍首相の靖国神社参拝で日米間に生じた不協和音の解消を狙う。日米が安全保障や経済で足並みをそろえる姿を示し、北朝鮮や中国の脅威に直面するアジアの同盟国の不安を払拭したい考えだ。ただし中国を過度に刺激することになれば、かえって地域の安定を損なう懸念もあり、中国への配慮も欠かせないという事情も抱えている。

 オバマ政権の対日観は安倍首相の靖国参拝で揺らぎをみせた。ホワイトハウスはそれまで、安保や経済の改革を志向する首相を「現実主義者」ととらえ、北朝鮮や中国の脅威が増すなかで、首相が靖国参拝で中韓を刺激することはないと踏んできた。靖国参拝時に表明した「失望」はそうした期待の裏返しだった。

 しかしアジア重視を打ち出すオバマ氏にとり、日本がアジアの要石であることに変わりはない。日米首脳会談では、安倍首相に対し、安保や経済の現実を直視した前向きな対応をとるよう促すとみられる。(SANKEI EXPRESS

ランキング