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「非正常の日韓関係」改善へ遠い道のり 韓国紙は非難・懸念の声

 慰安婦などの歴史問題を理由に、日韓首脳会談を拒み続けてきた韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)が3月25日(日本時間26日)、バラク・オバマ米大統領(52)の呼びかけにしぶしぶ応じ、オランダ・ハーグでの日米韓3カ国首脳会談でようやく安倍晋三首相(59)と同じ席に着いた。

 この異常事態について、韓国の有力紙、中央日報(電子版、3月22日)は社説で「1965年の韓日国交正常化以降、韓日首脳による最初の会談が米国の首脳を間に挟んで行われたことがあっただろうか。非正常の韓日関係は相変わらずだ」と指摘した上で、「両首脳次第では両国国民の相手国に対する好感度を復元していく契機になることも考えられる」と期待感を示していた。

 しかし結局、今回の首脳会談では北朝鮮の核問題などにおける3カ国の安保協力体制を確認したこと以外にはほとんど成果はなく、ましてや日韓関係改善の兆しすら見受けられなかったことから、韓国でも冷めた論調が目立つ。

 「事実上の外交的断絶」

 保守系の韓国紙、朝鮮日報(電子版、3月27日)は社説で、今回の首脳会談について「韓日両国の首脳が同じ席に着くという事実そのものにより大きな注目が集まった。実際ここ1年以上にわたり韓日関係は事実上の外交的断絶状態にあった」と指摘した。

 その上で、来年は日韓国交正常化50年という節目の年であることに触れ、「今回の会談をきっかけに、韓国と日本は歴史問題や慰安婦問題などについての話し合いを一層本格化させなければならない。両国は今まさに過去50年の過ちを正し、新たな50年の歴史を作り上げるためより深い対話を模索すべき時を迎えている。それができるかどうかは完全に日本の態度に懸かっているのだ」と、日本側に歩み寄るよう訴えた。

 韓国の通信社、聯合ニュース(電子版、3月26日)は、今回の首脳会談の開催を伝える中で「韓日関係改善の見通しは不透明な状況だ」とし、「過去の歴史問題で冷え込んだ両国関係を改善するにはまだ遠いとの指摘だ」と断じている。

 首脳会談で懸案進展なし

 左派系の韓国紙、ハンギョレ(電子版、3月26日)は、「オバマと安倍のための韓米日首脳会談」と題する社説で、「韓日関係を困難に陥らせている、さまざまな懸案もまったく進展しなかった。最初の予想通り、オバマ米大統領と安倍首相のための場となっただけだ」と、今回の首脳会談に応じた朴大統領を間接的に非難した。

 今回の首脳会談を受け、韓国政府に対しては「日本が今回の会談を過去の問題と関連した通過儀礼の場として受け入れないように、日本に対する態度をさらにはっきりさせなければならない。また韓米日の安保共助が、対中国圧迫の試みや日本の再武装強化に飛び火してはいけない」として対日強硬姿勢を貫くよう求めた。

 また朝鮮日報(電子版、3月31日)は「韓日対話を阻む日本の閣僚たち」と題した社説の中で、日米韓首脳会談の開催直後に、下村博文(しもむら・はくぶん)文科相(59)が「村山談話」や「河野談話(こうのだんわ)」について「政府の統一見解ではない」と発言したことを問題視。「日本の閣僚らによる言動は、これまでさまざまな障害を乗り越えて進められてきた韓米日3カ国の協力体制にとって大きな障害とならざるを得ない」と懸念を示した。

 安保の視点での論調も

 一方、保守系の韓国紙、東亜日報(電子版、3月27日)は、今回の首脳会談を安保の視点から論じている。日米韓首脳会談の開催中に、北朝鮮が「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイルを発射したことから、社説で「米日など友邦との共助で朝鮮半島の平和と安定を守り、金正恩(キム・ジョンウン)に挑発の代価は自滅であることを悟らさなければいけない」などと日米韓3カ国による安保体制の強化と対北朝鮮批判を繰り広げた。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS

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