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知的なユーモアと涙を共存させる 映画「最後の晩餐」 オ・ギファン監督インタビュー

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知的なユーモアと涙を共存させる 映画「最後の晩餐」 オ・ギファン監督インタビュー

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「いずれは日本やニューヨークを舞台にした映画を撮りたい」と語るオ・ギファン監督(寺河内美奈撮影)  中韓といえば、先のソチ冬季五輪スピードスケート・ショートトラックをめぐり、滑った転んだで選手たちやマスコミがこぞって繰り広げた“場外乱闘”が記憶に新しい。だが、話題が中韓合作映画となれば、話は別らしい。繊細な感情を描き出すことにたけた韓国のオ・ギファン監督(46)の手によるラブコメディー「最後の晩餐」は、中国で約30億円を超える興行収入を記録し、中韓合作映画史上最高となるヒットになった。

 中国ロケに憧れ

 監督は「中国で撮影されたチャン・ドンゴン出演の『アナーキスト』(2000年)を劇場で見て、これだけ広大な国で映画を撮るのはかっこいいし、面白いと思いました。僕もいつか中国を舞台にした作品を手がけてみたいとずっと考えていたんですよ」と、中国ロケへの憧れを口にした。

 高校時代に恋人同士となったチャオチャオ(バイ・バイホー)とリー・シン(エディ・ポン)。それぞれ食器デザイナーと三つ星シェフになる夢を持つ2人は、本格的に勉強に打ち込もうと、「5年後、お互い独身だったら結婚しよう」と約束を交わす。だが5年後、上海で暮らしていたチャオチャオは、生まれ育った北京に残ったリー・シンから電話で「他の女性と結婚する」と聞かされ…。

 感情を出さない

 中国では昨年(2013年)、日本の人気テレビドラマ「101回目のプロポーズ」が映画としてリメークされたように、ラブコメディーが目下、人気ジャンルらしい。そんな見立てを念頭に、監督は物語に韓国人が好むメロドラマの要素も盛り込んだ。「ただ観客を泣かせるための物語にはしたくありませんでした。知的なユーモアと涙の双方をうまく共存させることで、観客に自分の人生をじっくりと考えてもらいたかった」。監督は制作意図を説明した。

 チャオチャオが病に侵される後半、韓国式メロドラマが“過ぎる”きらいはあるが、若い中国人男女の恋愛気質も分かり、興味をそそる。「韓国で恋人同士がけんかする場合、大概は女性の方が泣きますが、中国では男性の方が泣くんです。女性は感情を表に出さない。作中のチャオチャオも、演じたバイ・バイホーも、典型的な中国大陸の女性ですよ。台湾出身のエディ・ポンをやさ男として引き立てていましたね」。3月1日からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS

 ■Oh Gi-hwan(呉基桓) 1967年9月16日、韓国・釜山生まれ。主な監督作品は、2001年「ラスト・プレゼント」、韓国の監督5人が描く5つの短編ラブストーリーの10年「オガムド 五感度」、05年「ナンパの定石」など。

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