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心の移ろいを丁寧に描いた 映画「危険な関係」 ホ・ジノ監督インタビュー

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心の移ろいを丁寧に描いた 映画「危険な関係」 ホ・ジノ監督インタビュー

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「登場する豪邸はCGで映像化したものではなく、実際に建設したものです」と語るホ・ジノ監督=東京都港区(高橋天地撮影)  ラブストーリーの名手、韓国のホ・ジノ監督(50)が新作のラブロマンス「危険な関係」で改めて本領を発揮した。18世紀の作家、ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ(1741~1803年)の手による同名のフランス古典文学の名作を、1930年代の上海に置き換え、三角関係にある男女たちの揺れ動く感情を繊細に描いた。

 1931年の上海。プレーボーイとして名をはせていたイーファン(チャン・ドンゴン)は、資産家の性悪女、ジュ(セシリア・チャン)と賭けをする。高潔でつつましい未亡人、フェンユー(チャン・ツィイー)を“陥落”すれば、ジュは彼のモノになるというのだ。イーファンは、恋の手練手管を駆使してフェンユーに近づき、ついに彼女は心を動かすのだが…。

 ラクロの小説は何度も映画化されたが、ホ監督は映画で何か独自性を発揮しようとは考えず、自然体で臨んだ。「過去の私の作品と同様、物語の段階を踏んで、登場人物の心の移ろいをしっかりと丁寧に描くことが大切だと考えたからです」。見どころの一つに挙げたのは、表現力が豊かなチャン・ツィイーの身振りのことごとくだ。ホ監督は「彼女の立場で言えば、当初は嫌いだった人物をいつのまにか好きになってしまう-というような感情の変化が面白いと思いますよ」と指摘した。

 チャン・ツィイーがキスシーンリード

 撮影前、「韓流四天王」として日本でも大人気のチャン・ドンゴンが不安そうな表情を浮かべ、意外なことを口にしたそうだ。「僕はほとんどキスシーンの経験がないんです」。愛の語らいも中国語でやろうというのだから、なおさら不安だったろうが、ホ監督は一笑に付した。「この作品はラブロマンスなのだから、ラブシーンが自然と必要になってきます。実際、キスシーンに臨んだドンゴンの演技はどこかぎこちなかったのですが、結果的には自然な感じに撮れましたよ。チャン・ツィイーさんがうまく彼をリードしてくれたんです」

 話を聞いていると、ホ監督はチャン・ツィイーに絶大な信頼を寄せていることが見てとれた。チャン・ツィイーはどんな女優なのか? 「自分なりにしっかりと人物像を創り出していくタイプですね。まずはどんな作品かを自分なりに考え、与えられた役柄について思い悩み、答えを出していく。次はどんな演技を見せてくれるのかと、私は撮影が楽しかった。そういえば彼女は共演者が中国語を話すときにはうまくリードもしてくれましたよ」。1月10日から全国順次公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■Hur Jin-ho 1963年8月8日、韓国生まれ。98年に自ら脚本も手がけた「八月のクリスマス」で監督デビュー。作品は韓国の青龍映画賞では最優秀作品賞と新人監督賞など5部門を受賞。2007年「ハピネス」は青龍映画賞で監督賞に輝く。主な監督作は、01年「春の日は過ぎゆく」、05年「四月の雪」、09年「きみに微笑む雨」など。

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