外に出かけるには最高の季節ですもの。パリでは今いろんな展覧会が開催されています。オルセー美術館ではギュスターヴ・ドレ展が、グランパレではロバート・メイプルソープ展やビデオアートの巨匠ビル・ヴィオラの展覧会もあります。娘のソリータはロバート・メイプルソープ展を見に行くのを楽しみにしています。シテ・デュ・シネマではスター・ウォーズ展が開催されていてこちらも面白そうです。ヴィレットの音楽博物館でもジャズやブラックミュージックについての面白そうなエキスポジションが開催されています。

　出会いが人生豊かに

　わが街パリは、治安は悪いし物価は高いしサービスも悪いし、暮らしやすい街ではないけれど、文化に優しい街であるということは自信を持って言えます。

　北マレやバスティーユに軒を連ねている現代アートの興味深いギャラリーは、もちろん無料でいつでも観覧できます。映画の料金もかなり安く設定されていて、いつも長い列ができています。レアールのジャズクラブでは毎週ジャムセッションが開催されていて、音楽好きが楽器を持って集まります。

　ダンスにデッサンにスポーツ、何だってお財布に優しい金額で学ぶことが出来ます。そこでは共通の興味を持つ人たちと出会うことも出来るんですよ。

　出会いは人生を豊かにする大切な要素の一つだと思います。仕事だけの人生なんて寂しいですものね。私は日本が大好きですが、パーティーやお友達の集まりでも必ず最初に相手の職業を尋ねるところには今でも違和感があります。その人の仕事内容よりパーソナリティーが魅力的かどうかの方が重要！　私たちフランス人はプライベートで仕事の話はめったにしないんですよ。最近見た映画、コンサート、展覧会の話、お薦めのレストラン、仕事の話をしなくても話題はつきません。日本のように仕事の後に仕事仲間と飲みに行く習慣もありません。仕事は仕事ですから！　何よりもプライベートな時間を大切にするんですね。

　愛犬で生活変わった

　私のプライベートは愛犬が来てから変わった気がします。散歩道でも、ブーローニュの森でもジョゼフ（愛犬の名前）の散歩のときにたくさんの人と出会い、友達が増えました！　あまりにもいたずらが過ぎるのでジョゼフのしつけ教室に通っているのですが、ここでも友達が出来ましたよ。仕事以外の友達関係を続ける秘訣は、相手からの連絡を待たないで自分から連絡してみることだと思います。

　お付合いの長さに関係なく、マメに連絡するようにしています。大人になってできた友達はかけがえのない宝物ですから！（フランス人クレモンティーヌ／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　■Ｃｌｅｍｅｎｔｉｎｅ　パリ生まれ。レコードコレクターの父親の影響でジャズに囲まれて育つ。１９８８年に歌手デビューし、９２年から日本で活動を本格化。以来、ジャズ、ポップス、ボサノバなどさまざまなジャンルの作品を発表。２０１０年、サントリー「ＡＬＬ－ＦＲＥＥ」のＣＭ曲に起用された「天才バカボン」の主題歌をはじめ、日本のアニメソングをフランス語でカバーした「アニメンティーヌ」がヒット。音楽だけでなく、オンオフを自然体で実践するライフスタイルも注目を浴びている。パリ在住。ｐｏｓｓｉｏｎ－ｈ．ｃｏｍ／ｃｌｅ／