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誰もが参考にできる普遍的な内容 映画「アデル、ブルーは熱い色」 アデル・エグザルコプロスさんインタビュー

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誰もが参考にできる普遍的な内容 映画「アデル、ブルーは熱い色」 アデル・エグザルコプロスさんインタビュー

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「非日常的な世界や時間を作り出して、人間ドラマを描ききる作業のが面白い。だからいろんな映画に出演したい」と語るアデル・エグザルコプロスさん=2014年2月25日、東京都渋谷区(野村成次撮影)  8歳のとき、学校の部活動で何となく選んだのが芝居だった。アドリブによる演技を徹底的に仕込まれ、演技の楽しさが分かりかけてきた12歳のとき、映画ディレクターの目にとまり、あれよ、あれよという間に「新進女優」と呼ばれるようになっていた。

 そんなアデル・エグザルコプロス(20)が、昨年(2013年)のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた「アデル、ブルーは熱い色」(アブデラティフ・ケシシュ監督)で、レア・セドゥ(28)とダブル主演を務め、例外的に2人にパルムドールを贈られたことが話題になった。プロモーションで初来日したエグザルコプロスは「すごい賞をいただいてうれしかったです。もっといろんな映画に出演してみたいという意欲がわいてきました」と声を弾ませた。

 社会の関心事の核心突く

 文学をこよなく愛する高校生のアデル(エグザルコプロス)はデートに向かう途中、偶然、街角ですれ違った青い髪の美大生、エマ(セドゥ)にすっかり心を奪われてしまう。その後、アデルはエマとバーで運命的に再会を果たし、やがて2人は恋に落ちる。

 カンヌで審査委員長を務めたスティーブン・スピルバーグ監督(67)は、エグザルコプロスとセドゥの豊かな表現力を絶賛したそうだ。当のエグザルコプロスは同性愛者同士による恋愛や結婚を念頭に「それは作品が世界を取り巻く今日の社会の関心事の核心を突き、現実に根ざして描かれたから、私たちの演技が評価されたのだと思います」と控えめだ。一見、特異なキャラクターにも見えるアデルとエマにも言及し、「誰が見ても2人に感情を移入したり、自己投影したりできますよ。たとえ作品が女性同士の恋愛物語だとしても、内容は誰もが参考にできる普遍的なものだとすぐに分かります」と力を込めた。

 内容理解に最大限の努力

 本作の公開をめぐっては、欧米、ロシア、中国、アラブ諸国でラブシーンが大幅にカットされたり、上映を見送る映画館もあった。エグザルコプロスは「恋愛とはジェンダーを超えたもの。私の演技への態度としては、同性愛者がどうとか言うのではなく、むしろ、人物像や物語が言わんとすることを理解するために最大限の努力を払います」と自らのスタンスを示した。アデル役は自分の年齢と近く、人生の過渡期を生きている女の子だけに、親近感もわいたそうだ。

 10分間に及ぶアデルとエマの激しいラブシーンは映画ファンの関心を集めたほか、カンヌの後、エグザルコプロスとセドゥは監督に対し、長く、つらく、配慮に欠いたとされる撮影への不満をマスコミを通して爆発させたことも記憶に新しい。エグザルコプロスにラブシーンへの思いを問いただすと、「この作品はラブストーリーですから、男女によるラブストーリーと同様、セックスシーンは必然的なもの。何の違和感も感じませんでした。よく知らないセドゥとの絡みは最初に撮ったので、むしろその後の撮影はスムーズでした」と述べるにとどめ、うまく質問をはぐらかした。4月5日、全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■Adele Exarchopoulos 1993年11月22日、パリ生まれ。父はギター教師のギリシャ人、母は看護師。演劇に興味をもち、名門リセ・ラシーヌ校に通う。2006年「Boxes」(ジェーン・バーキン監督)、主演を務めた08年「Les Enfants de Timpelbach」(ニコラ・バリ監督)、13年「Des morceaux de moi」(ノルヴェン・ルメール監督)など映画出演を重ねる。

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