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【2013回顧】(2)エンタメ 個性派ドラマ 当たり年

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【2013回顧】(2)エンタメ 個性派ドラマ 当たり年

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アニメ界の巨匠、スタジオジブリの宮崎駿監督。今回3度目のベネチア映画祭出品となった「風立ちぬ」を最後に長編映画からの引退を表明した=2013年9月6日、東京都武蔵野市(今井正人撮影)  ≪舞台去る巨匠…「新星」キラリ≫

 2013年はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」、TBS系「半沢直樹」の2大ドラマが相次いでブームを起こした。2つのドラマは、劇中のせりふ「じぇじぇじぇ」「倍返し」が年末恒例のユーキャン新語・流行語大賞に選ばれるなど社会現象化した。

 「あまちゃん」は岩手と東京を舞台に、海女やアイドルを夢見る少女と家族たちの姿を描き、人気脚本家の宮藤官九郎(43)の前向きでユーモラスな展開で人気が拡大。9月28日の放送終了後には、「あまちゃん」を見る楽しみがなくなってしまった視聴者の喪失感から「あまロス」という言葉まで生まれた。

 一方の「半沢直樹」は、理不尽な上司や仕事に立ち向かう銀行員の奮闘を描いた。勧善懲悪的な展開は時代劇を思わせ、最終回には民放連続ドラマとして今世紀最高の平均視聴率42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をたたき出した。

 ここ数年来のゆるキャラブームは2013年も続いたが、特筆すべきはくまモンとふなっしー。くまモンは、優等生的で愛くるしい動作をし、しゃべらないなど従来のゆるキャラ路線を踏襲したが、ふなっしーは既成のゆるキャラの概念を大きく逸脱。「梨の妖精」とかわいらしい設定ながら、語尾に「なっしー」と付けてしゃべりまくり、「ヒャッハー」などと奇声を発して高くジャンプするなど、およそゆるキャラとは思えないパフォーマンスが大人気を博した。

 エンタメ界には残念なニュースも相次いだ。9月にはアニメ界の重鎮、宮崎駿監督が突然長編映画からの引退を発表した。また、マンガ界の重鎮、やなせたかしさんが10月13日、心不全のため94歳で亡くなった。

 ≪じぇじぇじぇ!「あまちゃん」≫

 9月28日に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」最終回の一場面。「あまちゃん」は、岩手の北三陸と東京を舞台に、ヒロイン、アキ(能年玲奈)が海女やアイドルを目指して奮闘する姿を描いた。脚本家の宮藤官九郎による前向きでユーモラスな展開がインターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで注目され、人気が拡大。驚きを表す方言「じぇじぇじぇ」が2013年の流行語になるなど社会現象となった。NHKには視聴者から続編を望む声が相次いだという。

 ≪倍返しだ!「半沢直樹」≫

 理不尽な上司や仕事に立ち向かう銀行員の奮闘を描いたTBS系ドラマ「半沢直樹」。主演の堺雅人(40)のまくし立てるような長ゼリフと表情豊かな「顔芸」が話題をよんだほか、敵役を演じた歌舞伎俳優の片岡愛之助(41)や香川照之(48)らの怪演が作品を盛り上げた。また、主人公のせりふ「倍返し」は2013年の流行語大賞にも選ばれた。

 ≪「そして父になる」 カンヌ席巻≫

 第18回釜山国際映画祭オープニングセレモニーに参加した「そして父になる」の(左から)是枝裕和監督、黄升●(=火へんに玄)、二宮慶多、福山雅治。「そして父になる」は福山が主演、第66回カンヌ国際映画祭で日本映画として26年ぶりとなる審査員賞を受賞した。6年間育てた息子が実は出生時に取り違えられていた事実を知った福山演じる会社員を主人公に、葛藤する家族たちの物語で、家族とは何かを問いかける人間ドラマ。カンヌ国際映画祭の審査委員長を務めたスティーブン・スピルバーグ監督は「感動的でぼろぼろ泣いた」とほれこみ、ドリームワークス(DW)社でリメークすることが決定した。

 ≪新世代ゆるキャラ!? ふなっしー大ブレイク≫

 ご当地キャラ総選挙2013で優勝した千葉県船橋市の非公認キャラクター、ふなっしー。梨の妖精というかわいらしい設定で2011年、船橋市の個人が考案した。地元船橋市に何度も公認を申請したが却下されたため、非公認キャラとしてネットに公開するなどして独自に活動してきた。独特の声で語尾に「なっしー」と付け、喜ぶと「ヒャッハー」「梨汁ブシャー」と雄たけびを上げ、非常に高くジャンプするなどして、およそ従来のゆるキャラの概念を大きく逸脱したパフォーマンスが受けに受けて全国区の人気者となった。米映画の声優やCDデビューなどを果たし、大みそかのNHK紅白歌合戦への出場も決まった。

 ≪ポール来日 ファン熱狂≫

 元ビートルズのポール・マッカートニー(71)が11年ぶりに来日し、大阪や福岡、東京の3都市でライブを行った。11月9日、関西国際空港に到着したマッカートニーは、1966年のビートルズの初来日時を彷彿とさせるはっぴ姿で登場し、ファンを大いに沸かせた。日本ツアー初日となった11日には、トレードマークのベースを肩から掲げ、新作アルバム「NEW」に収録された曲のほかビートルズナンバーを次々と熱唱した。

 ≪5代目歌舞伎座お披露目≫

 5代目歌舞伎座が4月、3年の歳月をかけた建て替えを経て新しく開場した。昨年末には中村勘三郎が、今年2月には江戸歌舞伎を代表する市川團十郎も66歳で急逝。働き盛りの人気俳優の訃報に憂慮する声も上がったが、こけらおとし興行では古典を中心とした平成の芸の極みを示す舞台となった。

 ≪宮崎駿監督が引退≫

 アニメ界の巨匠、スタジオジブリの宮崎駿監督(72)が突然引退を表明した。「風の谷のナウシカ」の脚本・監督を担当し映画化。その後スタジオジブリの設立に参加し、「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などでアニメファンの心をがっちりつかんだ。

 2001年の「千と千尋の神隠し」は日本歴代1位の304億円という興行成績を収め、ベルリン国際映画祭の金熊賞をアニメーション作品としては初めて受賞した。また、2005年には優れた映画人に送られるベネチア国際映画祭の栄誉金獅子賞に輝くなどした。1997年の「もののけ姫」以来、これまでも体力的な限界などから何度か引退を示唆したが、子供たちに夢を見せ続けたいと思いとどまっていた。今回3度目のベネチア映画祭出品となった「風立ちぬ」を最後に長編映画からの引退を表明した。

 ≪「アンパンマン」 やなせたかしさん死去≫

 漫画界の重鎮、やなせたかしさんが10月13日に心不全のため亡くなった。94歳だった。代表作「アンパンマン」は世代を超えた人気で東日本大震災の際には被災者向けに激励のメッセージとイラストを描くなどして多くの人に勇気を与えた。1953(昭和28)年にマンガ家として独立、作詞した「手のひらを太陽に」(いずみたく作曲)が大ヒットしたが、本業のマンガ家では売れない時代が続いた。73年に絵本となった「あんぱんまん」(当時はひらがな)は児童には難しいと最初は評論家らに敬遠されたが、子供たちが奪い合うように読み評判が高まった。テレビアニメ化され、大ヒットしたのは88年。2009年には「アンパンマン」が最もキャラクター数の多いアニメとしてギネスの世界記録に認定された。絵本「アンパンマン」はフレーベル館のシリーズだけで計6800万部販売された。(EX編集部/撮影:大里直也、山下香、桐原正道、今井正人、北野浩之/SANKEI EXPRESS

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