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「死の感染症」エボラ出血熱大流行か ギニア59人死亡、首都にも拡大

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「死の感染症」エボラ出血熱大流行か ギニア59人死亡、首都にも拡大

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エボラ出血熱ウイルスの電子顕微鏡写真(パリのパスツール研究所提供)  西アフリカのギニアで、致死率が極めて高く、感染力も非常に強い「エボラ出血熱」が大流行の兆しを見せている。国連児童基金(ユニセフ)などによると、最初の感染者が発症したとみられる2月9日以降、80人が感染し、このうち子供3人を含む59人が死亡した。3月23日には、死者のうち2人が首都コナクリの住民だったことが判明。“死の感染症”が首都にも入り込んだことが分かり、パニックが起きている地域もあるという。

 隔離棟の設置開始

 フランス通信や英BBC放送、AP通信などによると、2月9日に最初の発症者を確認したが、仏リヨンの研究者のサンプル分析結果を受け、現地の保健当局が「エボラ出血熱」と発表した今月(3月)22日まで病名を特定できず、感染者が増えた。感染者はゲケドゥやマセンタといった南部の森林地帯に集中。現地の保健当局が患者の治療に当たっている。

 米CNNテレビによると、22日には仏の民間国際NPO(非営利組織)、国境なき医師団(MSF)がベルギーや仏から総重量33トンもの医療物資をギニアに運び込み、感染者の確認地域で隔離棟の設置を始めた。

 MSFで熱帯性疾患医療のアドバイザーを務めるエッシャー・スターク博士は「隔離棟は感染力の強い病気の蔓延(まんえん)を防ぐには不可欠であり、専門スタッフが患者のケアにあたっている」との声明を発表した。

 壊滅的被害の恐れ

 エボラ出血熱は1976年にザイール(現コンゴ民主共和国)で発見された。下痢や嘔吐(おうと)、高熱に加え、皮膚などからの出血が特徴で、感染源はコウモリやゴリラ、チンパンジー、ヤマアラシなどといわれている。

 人から人への感染は患者の血液や汗といった体液や排泄(はいせつ)物、患者の遺体に直接触れるほか、性交渉で起こる。世界保健機関(WHO)によると、確立された治療法やワクチンはなく、患者の致死率は25~90%に達する。

 エボラ出血熱が発生した最近の例では、2012年7月、ウガンダ西部で17人が死亡。隣国コンゴ(旧ザイール)でも10人が死亡したが、ギニアでの感染確認は初。そのうえ約200万人が住み、物や人の出入りが激しい港湾都市である首都で死者が出たことに現地の保健当局は大きな衝撃を受けている。

 ユニセフのギニアの責任者、モハメド・アグ・アヨヤ博士は「ギニアのように医療インフラが脆弱(ぜいじゃく)な国でエボラ出血熱が大流行すれば(国が)壊滅的な被害を受ける」との声明を発表。患者同士の接触や患者の所持品、遺体への接触、野生生物の肉を食べることで感染が拡大するとして警戒を呼びかけている。

 しかし、エボラ出血熱はギニア外にも拡大しそうな気配だ。南に隣接するシエラレオネ共和国東部では、ギニアに行き、エボラ出血熱によるとみられる死者の葬儀に参列したとみられる14歳の少年が死亡しており、シエラレオネの医療当局者が関連を調べている。また、ギニアでの感染者1人がリベリアに旅行したことが22日に判明したという。(SANKEI EXPRESS

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