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各国首脳、黒人、白人…「偉人に敬意」 マンデラ元大統領追悼式

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各国首脳、黒人、白人…「偉人に敬意」 マンデラ元大統領追悼式

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 弾圧に屈せずアパルトヘイト(人種隔離)の撤廃に身をささげ、12月5日に95歳で死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領の公式追悼式が10日、最大都市ヨハネスブルクのサッカー競技場で営まれ、雨の中、国民や各国首脳が反差別の闘士に別れを惜しんだ。

 9万人以上が収容可能な競技場に国民と約100の国・国際機関の首脳級が集い、追悼式典としては空前の規模。競技場の一帯は国軍と警察が厳戒態勢を敷いた。

 オバマ米大統領は弔辞で、マンデラ氏は「歴史上の巨人」であり「国家を正義に導き、世界中の何十億の人々を揺り動かした」と称賛。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も「われわれの時代における偉人の一人にとどまらない存在だった」と哀悼の意を表明した。日本からは皇太子さまと福田康夫元首相が参列した。

 長く肺感染症を患っていたマンデラ氏は今月(12月)5日、ヨハネスブルクの自宅で死去。娘のマカジウェさんによると、妻、グラサさんや子供、孫ら家族に囲まれ「素晴らしい」最期を迎えたという。

 遺体は11~13日に首都プレトリアで公開安置され、15日に故郷の東ケープ州クヌで埋葬される。政府は一連の行事を国葬と位置付けている。

 会場には黒人、白人、肌の色が違う大勢の国民の合唱がこだまし、しとしとと降る雨が悲しみを誘った。

 「マディバ(マンデラ氏の愛称)」。式典開始直後、競技場に集まった人々がマンデラ氏をたたえる歌を大声で歌った。各宗教の祈りがささげられ、厳かな雰囲気に。

 黒人男性のエリアス・マイナメさん(61)は「われわれの文化では、葬儀での雨は、偉大な人物が亡くなったことの証し。マンデラ氏は自由をもたらしただけでなく、和解の大切さを教えてくれた」と言葉に力を込めた。

 競技場がある旧黒人居住区ソウェトに暮らす黒人女性、ホープ・マセモラさん(25)は「マンデラ氏は私たちの父。亡くなったのはショックだが、祝って別れを告げたい」と前を向いた。

 競技場のスクリーンには、沈痛な表情を浮かべる前妻、ウィニーさんらの姿が映し出された。参列したオバマ大統領の映像が出ると、大歓声が起きた。

 この日、競技場には夜明け前から多くの人々が駆け付け、開場を待った。式典前にはマンデラ氏のポスターを掲げる黒人たちの踊りの輪に加わる白人女性の姿もあった。

 白人の無職、アンドレ・フィッサーさん(70)と妻、レネさん(67)は「彼は黒人だけでなく、白人を含む全ての南ア人を解放し、一つにした。偉人に敬意を払いたい」としんみりとした様子で話した。(共同/SANKEI EXPRESS

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