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確立された世界観 海外にも通用 MEG
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シンガー、デザイナー、MEG(メグ、提供写真) 本人に会うと、やや控えめでとても話しやすい人間味のある人柄、という印象を受ける。しかしシンガーでありデザイナーでもあるMEGは、ファッション界ではカリスマ的存在だ。クリエートするもの、コラボレートした作品などは、国内のみならず海外でも注目されている。
2002年にデビューを果たして以来、コンスタントに作品をリリースし、ヨーロッパでのリリース、イベントへのライブ出演も果たしている。10年には一時フランスに活動拠点を移し、海外での活動を展開していた。
彼女の才能は音楽にとどまらず、ユニクロ、ソフトバンクやアニメ「ヱヴァンゲリヲン」などとコラボレーションし、デザインなどを手掛けている。自身がプロデュースした洋服や化粧品は全国の百貨店や海外店舗などでも販売されている。
リリースになった最新アルバムは非常にユニークな作品だ。テーマは「RPG」。タイトルもゲームでおなじみの言葉「CONTINUE」である。本人も「なんか面白いことをやっている感じが伝われば」と語るように、アルバム全体でロールプレーイングゲームのようにさまざまなストーリーが繰り広げられていき、そのストーリーを表現するために振れ幅のある曲が並ぶ。
そしてそれぞれの曲のテーマに合うように、新進気鋭のクリエーターから大御所まで、実に多彩な作家がずらりと並ぶ。例えばアルバム11曲目、ゲームで言うところの最後のボスとの戦いのような場面をイメージするこの曲は、重厚な音でスケール感のあるアレンジになっていて、歌詞は作詞家の森雪之丞が手掛けている。まさに適材適所といった起用の仕方だ。
彼女のように海外で注目されているアーティストは、今はやりのエレクトロ・ダンス・ミュージックサウンド(EDM)に寄せることも作戦として考えられそうだが、アルバムは彼女の独自の世界観に合うように計算されていると感じる。ボーカルがぐっと前に出ていて、声を印象的に聴かせる曲などもあり、MEGらしさ、そして彼女とクリエーターが化学反応を起こして成り立つ、唯一無二の世界観を味わうことができる。
流行に寄せるのではなく、まず自分がクリエーターとしてしっかりとした世界観を構築することが、海外でも通用する個性になるのだということを教えてくれているようだ。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)