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4人による他人のためのアルバム ドレスコーズ

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4人による他人のためのアルバム ドレスコーズ

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4人組ロックバンド、ドレスコーズ(提供写真)  ドレスコーズは志磨遼平を中心に2年前に結成された4人組ロックバンドである。新作「バンド・デシネ」が先週リリースされたばかりだ。

 志磨が以前にボーカルを務めたバンド、毛皮のマリーズは、古き良きサウンドをアレンジに盛り込み、明るさや華やかさを帯びた楽曲が印象的に響いていた。日本武道館でライブを行うまでに成長したが、2011年に解散。メンバーは個別に活動を続けることになった。

 毛皮のマリーズ時代は、楽曲の制作が志磨の頭の中にある音楽を形にするものだった。だが、新たに組んだthe dresscodes(ドレスコーズ)では、メンバー4人がお互いを刺激しあい、志磨の想像を超えるようなアレンジが飛び出してくると話を聞いたことがある。バンドができてすぐ取りかかった1作目のアルバムは、メンバーがストイックに音楽に向き合い、スタジオで4人が戦っているかのような、がむしゃらに楽器をかき鳴らす姿が想像でき、緊張感や力強さ、ひねりのきいたフレーズが印象的だった。今までのイメージを振り払うかのように力強い音を鳴らして、自らの存在を模索し、主張しているように感じた。

 リスナーと自らの存在

 しかし、1枚目のアルバム「the dresscodes」をリリースし、全国ツアーを経験したバンドは、手探りの状態から脱し、新たに出会ったリスナーと自らの存在を確認した。そこで得た手応えが見事に新作「バンド・デシネ」にフィードバックされている。

 メロディー、コーラス、音像など、聴き手にとっての間口が広がったような、明るさの増した作品という印象だ。この「開けた」印象に志磨自身も「4人の可能性を試す実験の意味合いのあった前作から、4人による他人のためのアルバム、がテーマかもしれない」と制作を振り返る。バンドの土台を築くのは一朝一夕ではできないことだが、2年間ですでに自分たちの形を作り、外に向けて音楽としての進化を見せつけてくれた彼らは、ロック好きだけに限らない多くの人たちに届くべき音を奏でている。

 志磨いわく「ポピュラーミュージックと取っ組み合っている最中」という彼らの音楽をぜひ聴いてみてほしい。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS

 ■the dresscodes 毛皮のマリーズでボーカルを務めた志磨遼平を中心に結成され、2012年1月1日に初ライブを行う。7月にリリースされた1stシングル「Trash」は、映画「苦役列車」の主題歌となった。12月にはアルバム「the dresscodes」をリリース。今年に入って11カ所のライブツアーを敢行。8月リリースの2ndシングル「トートロジー」はアニメ「トリコ」の主題歌になった。

 ■ふじた・たくみ 1976年、東京都生まれ。ラジオ、テレビの音楽番組を中心に活動する傍ら、年間150本ほどライブに通う。現場主義の視点で音楽を紹介し続けている。

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