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舞台は演劇体力を鍛える道場 舞台「グッドバイ」 柄本佑さんインタビュー

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舞台は演劇体力を鍛える道場 舞台「グッドバイ」 柄本佑さんインタビュー

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 先月(11月)、舞台「エドワード二世」で愚王を見事に体現した柄本佑(26)。間髪入れず、今度は北村想書き下ろしの戯曲「グッドバイ」(寺十吾演出)で舞台に立っている。「生で人前でやることは、やりたい、というより、やらなければいけない。舞台は演劇体力を鍛える道場」だと、飄々(ひょうひょう)と言う。

 面白く色っぽい脚本

 「グッドバイ」は劇作家・北村が太宰治の未完の絶筆を膨らませてつづった新作劇。8人の愛人を持つ大学教授の黄村(段田安則)が、8人との関係清算のため、美女・三舞(蒼井優)を偽の婚約者として雇い、2人で愛人の元を巡るという話だ。

 この作戦を立てたのが、柄本演じる黄村の助手・渡山。さらに渡山は黄村も知らない謀略も巡らす。「簡単に言えば陰謀を働く悪い男ですね」。だが北村は、軽妙洒脱なセリフにより、渡山の計算高さをさらりとちゃかしても見せる。黄村と渡山のやりとりは漫才のようにおかしい。「想さんが関西の方だからかな? 面白いんです。勝手をカッテとカタカナで書くあたりが軽妙で、脚本の文体も色っぽくて独特の魅力。想さんは女性におモテになるんじゃないかなあ、と思います」

 共演の段田は「憧れの人」。「日々、掛け合いで稽古するのが、とても楽しい」という。演技体力を鍛える道場での日々も、「動いてみて、違う、うまくいかないな…とやっていると何回かに1回、役の了見が、はっとわかることがある」と感覚を語るが、「でも次に同じせりふを演じても、頭で解釈しちゃってて、面白くなくなっちゃってるんですよね。日々、新鮮にやるコツは忘れること、ってことですね」と、舞台ならではの難しさも口にした。

 俳優になったのは必然

 父(柄本明)も母(角替和枝)も演技派で鳴らす俳優一家。俳優になったのは「もう完全に環境から」。「学校から家に帰れば、両親は映画を見ているか、映画の話をしているか、家にいないか。『今日学校どうだった』なんて一度も聞かれたことがないですね」。少年の頃、学校が終わると父・明らがいる劇場に行き、楽屋にランドセルを放り投げると「インディ・ジョーンズの洞窟のような」舞台裏を冒険した。

 「大人が楽しそうにものづくりしていて遊園地なんかよりずっと楽しい場所。今も、劇場入りで独特の匂いをかぐと、その時の気持ちがよみがえってくるんですよね」(文:津川綾子/撮影:伴龍二/SANKEI EXPRESS

 ■えもと・たすく 1986年、東京都出身。2001年にオーディションで射止めた映画「美しい夏 キリシマ」(03年)の主演でデビュー。「キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞」「日本映画批評家大賞新人賞」を受賞。映画を中心にTVドラマでも活躍中。初舞台は07年に劇団東京乾電池「ピンクの象と五人の紳士」。12月には映画「武士の献立」の公開が控える。昨年、女優の安藤サクラ(27)と結婚した。

 【ガイド】

 12月28日まで シアタートラム(東京)。シス・カンパニー(電)03・5423・5906。www.siscompany.com/good/

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