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激しくエネルギーを使うお芝居です 舞台「鉈切り丸」 成海璃子さんインタビュー

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激しくエネルギーを使うお芝居です 舞台「鉈切り丸」 成海璃子さんインタビュー

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甲冑を含め、劇中、成海璃子(なるみ・りこ)の衣装替えは実に10回に及ぶ(荻窪佳撮影)  凛としたまなざしが、ぶれない芯の強さを物語る。村八分やはっぴいえんどなどの古いバンドの曲もたしなみ、ディープな映画雑誌「映画秘宝」に連載も持つ。独特で深いサブカルチャーへの興味は両親の影響かと問うと、「人にはあんまり影響されるということがないです」とさらっと言う。何ともかっこいい。

 森田剛に刺激受け初舞台

 そんな成海璃子(なるみ・りこ、21)が初舞台に選んだのが、シェークスピアの「リチャード三世」を鎌倉時代に翻案した「鉈切り丸」である。無類の「リチャード三世」好きという、いのうえひでのり(53)の演出プランのもと、劇作家・青木豪(46)が和製リチャード三世として見いだしたのが、源範頼(生没年不詳)。「誰?」というなかれ。源頼朝(1147~99年)や義経(1159~89年)の兄弟である。青木は範頼に「鉈切り丸」という名を与え、異形のダークヒーローに仕立てた。

 鉈切り丸は、リチャード三世から、背がねじれた奇怪な容貌と、天下取りへの飽くなき野心をそっくり引き継ぐ。演じるのはV6の森田剛(もりた・ごう、34)。成海が初舞台を踏む気になったのは、主演が森田だったことが大きいという。

 「大河ドラマ『平清盛』で共演したとき、何だこの人は、と刺激を受けた。真摯に演技に向き合う姿勢がすてき。私もそうありたいです」

 想像しがたい時代

 一方、成海が演じる巴御前は、鉈切り丸を憎む役。最愛の人・木曽義仲を鉈切り丸に斬り殺され、愛息の命を守るため鉈切り丸の妻となる。「子供を産んだことはないけれど、敵の妻になってまで守らないといけない存在がいることを想像したり、あの時代に夫を殺されることがどんなことか、現代の私には計り知れないところが、難しいと感じました」

 巴御前は鉈切り丸に体は許しても、心までは許さない。鉈切り丸は思うままにならない巴を押し倒し、蹴り転がす。「激しく、とてもエネルギーを使うお芝居です」。体当たり続きの毎日で消耗するとは言うが「毎日背筋を曲げて演じ続け、ぼろぼろな身体であるはずの森田さんが何も言わない。そんな姿を見ると、私は何も言えないですよ」。

 そんな成海を癒やすのは「音楽を聴くことと、甘いものを食べること。最近、よくビートルズを聴きます」。(文:津川綾子/撮影:荻窪佳(けい)/SANKEI EXPRESS

 ■なるみ・りこ 1992年、神奈川県出身。2005年、ドラマ「瑠璃の島」(日本テレビ)の主演に抜擢され注目を集める。07年に初主演映画「神童」と主演2作目「あしたの私のつくり方」で第31回山路ふみ子映画賞新人女優賞を受賞。12月は「利休にたずねよ」「武士の献立」の映画2本が公開される。

 【ガイド】

 11月30日まで 東急シアターオーブ(東京)。サンライズプロモーション東京 (電)0570・00・3337

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