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「ワールド・カフェ」対話集会開催(下) 仕事は「目的」ではなく「手段」
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ワールド・カフェ方式の対話集会を開催した学生集団「ステイ・アクティブ」のメンバー=2013(平成25)年7月14日、東京都内(学生集団「Stay_Active」有志学生記者撮影)
「仕事とは何ですか?」「将来の夢は何ですか?」。今回の学生と社会人によるワールド・カフェのテーマだ。テーブルごとに書き出された意見からは、「仕事に対する価値観」について、学生と社会人の間で大きなギャップが生じていることが浮き彫りになった。
学生から出された意見には、「お金をもらうために行うこと」「働いて賃金をもらうこと」「生きるためのツール」といったものが多かった。学生にとって、仕事自体がお金を稼ぎ、生活をするための「目的」と考えていることがわかる。
これに対し、社会人からは「責任感を伴うが、やりたいことをやっている」「好きなことをし続けるために仕事をする」「幸せな家庭を築く」といった意見が出た。「組織に100%依存しない」「大会社に固執する必要はない」といった意見も聞かれた。
社会人は仕事を、自分の幸せや生きがいを実現するための「手段」と位置づけている。仕事の延長線上に、人生の目標を定めているのだ。
そもそも学生は就職活動において、内定をもらうことや仕事に就くこと事態が「目的」になってしまっている。就職がゴールなのだ。学生時代から、人生の目標を定め、仕事はそれを達成するための「手段」と位置づけていれば、就活はもっと違ったものになるはずだ。社会問題になりつつある就活学生の自殺への対処策になるかもしれない。
今回のワールド・カフェに参加した学生の多くが、就活に当たって自分にとっての「幸せ」とは何なのかを考えておくことの大切さを実感したようだ。
もっとも、社会人の先輩たちもかつては学生だった。実際に社会人となった後に、仕事に対する理想と現実のギャップに苦しみ、仕事を「手段」と位置づけ、人生の目標にたどり着いたのかもしれない。(今週のリポーター:学生集団「Stay Active」 有志学生記者/SANKEI EXPRESS)
≪ワールド・カフェで出た意見≫
・お金をもらうために行うこと
・働いて賃金をもらうこと
・生きるためのツール
・好きなことを仕事にする。「英語+子供」→英語教師
・仕事=お金=やりがい
・モテるために仕事する
・新しい感覚を知る
・フレッシュでエネルギッシュ
・自分を追い込むことができたとき自分の秘めたる力が引き出される
・できることなら遊んで暮らしたい
・自分のしたくないことをよく頑張るなあ
・休みがなくなる
・一生やり続けるつもりはない。独立する
・やりたいことをやっている
・会社とのフレンドライクな付き合い
・プロになるために、その道のプロに出合う
・やりたいことを見つけるのって大変
・本当は働きたくない
・フリーで働くこと
・酒屋の3号店オープンしたい
・川を1日泳ぐ
・好きなことをし続けるために仕事する
・組織に100%依存しない
・大会社に固執する必要はない
・一人一人が独立し好きなことを続ける
・自分の軸、自分が表現する強いものをもつ
≪参加した感想≫
・社会人もノリが似ていて楽しかった
・普段かかわらないような人たちの話が聞けた
・社会人の仕事に対する価値観を聞けたことはプラス・目標って大切なんだと思った
・人生の選択の幅が広がった
・大学生のパワフルな意見に感動
・学生の旬な意見を聞けて勉強になった
・大学生の将来の夢や目標が聞けて楽しかった
・いつの時代も変わらないなと思った
社会人と学生が本音で話し合える機会を提供したいと考え、今回の「ワールド・カフェ」方式による対話集会を開いた。本音で話し合うということは、夢や目標をお互いに打ち明けることにつながり、会場は学生と社会人の双方のエネルギーに満ちあふれているように感じた。
参加者は、初対面にもかかわらず打ち解けて意見を出し合っていた。言葉として消えてしまうのではなく、書き出していくことで、さまざまな立場の意見に触れることができ、参加者同士のつながりも深まっていったように思う。「ワールド・カフェ」という対話手法の効果を改めて確認できた。今回は「仕事」をテーマに「学生×社会人」で話し合ったが、さまざまなテーマ、多様な参加者の組み合わせによって、実りのある成果を得られると感じた。
学生にとっては、今まで知らなかった仕事に対する考え方や働き方を聞くことができ、これからの人生の選択肢を増やす機会になったと思う。参加者からは「こんなイベントを開催する機会があったら、また参加したい」という言葉をもらった。
社会人にとっても、なかなか経験できない機会だったようで、「フレッシュでエネルギッシュな学生との交流を通して力をもらった」と言ってもらい、改めてやりがいを感じることができた。
学生と社会人の間に交流が生まれ、そのギャップを少しでも埋める手伝いができたのではないかと思っている。
獨協大学2年・荻野真里(リーダー)、武蔵大学2年・石指里菜、アモイ大学4年・王鵬飛、大東文化大学3年・川瀬智広、獨協大学4年・高澤穂隆、獨協大学3年・高林真人