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就職相談バーで「本音」トーク(上) 「企業は変わった人を探してる」

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就職相談バーで「本音」トーク(上) 「企業は変わった人を探してる」

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カウンター越しに、本音で相談に乗ってくれる「とこなつ家」のマスターで、“やっさん”こと鈴木康弘さん=2013(平成25)年6月7日、東京都豊島区(上智大学_有志学生記者、高橋輝撮影)  【Campus新聞】

 学生にとって今も昔も、「就職」が本当の意味で社会へと出て行く最初の“関門”であることに変わりはない。「どんな職業を選べばいいんだろう」「会社ってどんなところだろう」「仕事って何だろう」…。不安は尽きない。そんな学生の相談に、マスターが真剣に耳を傾けてくれるバーが東京・池袋にあるという。上智大学の学生記者、高橋輝さん(22)が、「Dining DJ Cafe とこなつ家」の扉をたたいた。

 □今週のリポーター 上智大学 有志学生記者 高橋輝さん

 ≪とこなつ家オーナー 鈴木康弘さんに聞く≫

 最近、東京・池袋で噂になっているバーがある。マスターが就職の相談に乗ってくれるというのだ。サンシャイン通りの裏手へ一本入った道沿い、雑居ビルの2階にひっそりとそのお店はあった。リゾートバーのような店内に入ると、やたらと声の大きな威勢のいいお兄さんがカウンター越しに、「いらっしゃい!」と声をかけてくれた。

 有名企業の「裏話」

 「やっさん」の愛称で慕われる鈴木康弘さん(32)だ。今夜も、ホンネの就職相談に耳を傾ける。

 鈴木さんは、米カリフォルニア州で幼少時代を過ごし、早稲田大学商学部卒業後、2004年にリクルートエージェント(現・リクルートキャリア)に入社。主に外資系IT企業の採用支援や第二新卒者の転職支援に携わった。退社後、06年から南太平洋フィジー共和国の語学学校で採用、マーケティングを担当。10年に転職相談ができる「Bar Dining DJ Cafe とこなつ家」を起業した。

 就職・転職を手助けするキャリアコンサルタントとしてのこだわりは、徹底的に「個人の味方」であり続けることだという。法人顧客に収益を頼っていないので、「その会社には転職しない方がいい」というアドバイスも躊躇(ちゅうちょ)なくできる。

 一方で、100社以上の有名企業の採用担当者や経営者らと交友関係にあり、各社の求人情報や採用基準などに関する“裏話”を入手できるのが強みという。新卒採用の時期には400人以上の大学生が、とこなつ家を訪れ、毎週土曜日には、授業形式で就職活動のノウハウを伝授している。

 「バーで就職相談なんてばかげている」と、人は言うかもしれないけれど、スーツ姿ではなくラフで、打ち解けて会話をしてくれるマスターの前だからこそ、本音を話せる。一人で自分の本音に向き合うことはなかなか難しい。そんな時に、真摯(しんし)に話を聞いてくれる相手に出会えることは本当に貴重だ。鈴木さんから本音の話を聞いた。

 人とは違う「何か」

 ――今この時代に、企業に求められているのはどんな人材?

 「長く平成不況が続き、日本の多くの企業が今まさに生まれ変わろうと日々努力をしています。“変革者”たろうとする人材を企業は目を皿にして探している、と言っても過言ではありません。“普通の人”よりも、“変わった人”と出会いたいと考えているわけです。

 大手企業の採用では、数千人の求職者の中から数十人を選ぶ、という過度に競争率が高い過酷な戦いが繰り広げられています。社会に出たことのない学生を何百人も相手にする面接官の立場に立ってみると、『誰を落として、誰を通すか』という基準のなかに、『○○くんは◯◯が他の人と違う』という視点が必ず存在します。小学校から大学まで約20年間を同じように過ごすなかで、『他の人と違う』と思ってもらえるようになるためには、『学業以外での経験』が大きくものを言います。その意味で、大学での長期休暇の過ごし方は、人生を決める就職活動において大きな意味を持っていると言えるでしょう」

 海外で遊べ

 ――夏休みはどうすごせばいい?

 「一言で言うなら、『普段やっていない遊びを思いっきりやれ!』という言葉に要約されると思います。目的は、学生のみなさんが10年後、20年後に社会人として事業を企画したり、会社を経営するにあたって必要となる『多面的な視点で物事を見ることができる素養』を身に付けるためです。中でも、海外に行ってみることを私はおすすめします。多くのカルチャーに触れ、宗教や価値観の違いを知る中で、多面的な視点は身に着いていくのではないでしょうか。それも、机上の勉強と、海外での遊びを融合させて100%楽しみ倒すのです。まずは準備。これが机上の勉強です。事前に訪れる場所に関して調べましょう。インドの『タージ・マハル』を訪れるなら、『いつ』『誰が』『何のために』『どうやって』『いくらの費用で』『どれくらいの期間で』作ったのかを調べてみる。次に行動。これが遊び。実際にその場所を訪れ、土地の人たちと話をし、文化を理解し、その土地の空気を思い切り吸ってきましょう。事前に勉強した知識があれば、同じものを見て、同じことを経験しても、得られる『気づき』の数が飛躍的に増えるはずです」(今週のリポーター:上智大学 有志学生記者 高橋輝/SANKEI EXPRESS

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