「人の少ない四国につくっても税金の無駄遣いと思われているのだろう。実際は違うということを、なかなか理解してもらえない」。神原さんはこう嘆く。
1兆5700億円という巨額な事業費を四国域内で捻出するのであれば大きな財政負担となるが、実際は違う。新幹線の建設費は通常、公費によって賄われ、その負担割合は国が3分の2、残りが地元となる。ただ地元分には国からの交付税措置があるため、実質の地元負担は12%~18%程度にとどまるという。
「四国は人が少ない」という指摘も当てはまらない。四国新幹線は整備延長302キロで沿線人口は約338万人。1キロ当たりでは1万1200人で、北陸新幹線(6570人)や北海道新幹線(6070人)よりも人口集積は高い。
これらを知れば機運が高まるというものだが、残念ながらあまり市民への周知が進んでいないのが現状といえる。
40年塩漬け状態の基本計画
四国の新幹線整備構想の歴史は昭和48(1974)年までさかのぼる。当時、国は岡山から瀬戸大橋を経由して高知に至るルートと、大阪から徳島、高松、松山を経て大分を結ぶルートの2つの「基本計画」を決定。本来ならその後、地形や供給輸送能力、建設費用などの調査が行われ、その結果に基づき国が「整備計画」を決定することで建設が動き出す。