日本は寝耳に水…資源外交で勝敗分けた「機敏さ」 露ロスネフチ株取得合戦の舞台裏 (1/4ページ)

2017.1.9 06:55

安倍晋三首相とプーチン大統領の立ち会いでロシア国営石油会社ロスネフチのセチン社長(中央左)と握手する丸紅の国分文也社長(同右)=2016年12月、東京都内(AP)
安倍晋三首相とプーチン大統領の立ち会いでロシア国営石油会社ロスネフチのセチン社長(中央左)と握手する丸紅の国分文也社長(同右)=2016年12月、東京都内(AP)【拡大】

 政府系ファンドのカタール投資庁とスイスの資源大手グレンコアが昨年12月7日、共同で、ロシア最大の国営石油会社ロスネフチの株式19.5%を102億ユーロ(約1兆2400億円)で取得すると発表し、世界を驚かせた。とりわけ同月15日のロシアのプーチン大統領来日を前に、水面下で交渉してきた日本政府には寝耳に水で、あっけない幕切れとなった。その舞台裏とは。

 日本は昨夏から接触

 ロシア政府は資源安による財政赤字を補填(ほてん)しようと、時価総額591億7000万ドル(約6兆7690億円)のロスネフチ民営化の検討を進め、19.5%の国家保有株を売却する方針を打ち出した。経済制裁前から出資する英石油メジャーのBPに続き、中国石油(CNPC)やインド石油天然ガス公社(ONGC)も関心を示し、夏頃から日本政府も相次ぎロスネフチのセチン社長と接触。ロシア側の意向を探り、交渉は有利にもみえた。

 これと並行して取り組んだのが石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法の改正で、2016年10月には改正案の閣議決定に持ち込み、11月には成立した。世界的な資源価格の下落で、産油国が虎の子の国営資源会社の株式売却を検討する中で機動的に国営企業株を取得できるよう道を開いた。

土壇場になって腰が引ける日本政府に対し…

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