民進党など野党は、英国の欧州連合(EU)離脱派勝利による世界の市場混乱を踏まえ、「為替や株価に依存した経済(政策)ではダメだ」(民進党の枝野幸男幹事長)として、安倍晋三内閣の高い支持率を支えてきた経済政策「アベノミクス」批判を一段と強めている。
共産党の小池晃書記局長は25日、東京・八王子市で「EU離脱で株価は暴落している。アベノミクスはどこからみても破綻したことがはっきりした」と断言。「アベノミクスを『空ぶかし』しても排気ガスをまき散らすだけだ」とも指摘し、政策転換を迫った。
「消えた年金問題」を追及し「ミスター年金」として知られる長妻昭代表代行は同日、埼玉・越谷市で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による約140兆円の年金積立金の運用に懸念を示した。「年金積立金の半分を(国内外の)株式で運用し、高値で買っている。(株価暴落で)大丈夫なのか」と指摘し、株価の影響を受けやすい年金運用の危うさを指摘した。
報道各社の参院選序盤情勢で「与党優勢」が伝えられるだけに、野党としては消費増税の再延期に加え、急激な円高・株安が直撃するアベノミクスを「失敗」と印象づけることで、反転攻勢の材料にしたいとの思惑がにじむ。
ただ、首相が1日に増税再延期を決断した際、「世界経済のリスク」を理由に挙げたことに対し、野党は「今の世界の経済状況をリーマン・ショック前のようだといっているのは世界中でも首相だけだ」(共産党の志位和夫委員長)などと批判していた。その後、英国のEU離脱が確定したことで、実際に「世界経済のリスク」が顕在化し、野党は認識の甘さに対する批判を浴びる可能性がある。