「殺人ロボットを国際的に禁止すべきだ」(ジム・マクガバン米下院議員・民主党)。そうした批判は専門家の間でも強く、国連などがAI兵器についての議論を始めている。だが、各国は秘密裏に研究開発を進めており、「議論のペースは氷河のように遅い」のが実情だ。
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イスラエルが2月、「シンガポール・エアショー2016」で公開した無人攻撃機「ハーピーNG」が世界の軍事関係者に衝撃を与えた。完全自律型で、赤外線カメラなどで敵のレーダーを検知し、攻撃目標に突っ込み自爆する。「人間の許可なしに攻撃し、一度飛び立ったら戻すことができない」という長距離爆弾ドローンだ。
イスラエルは、戦場で敵を急襲し、自軍の兵士を救出する無人機も開発中だという。その頭脳となっているのが人工知能(AI)である。中国はイスラエルから旧型の「IAIハーピー」を輸入し、「分解して模倣しようとしている」とみられているほか、「ロシアは将来、ロボット部隊を編成することを欲している」とされる。
英国やフランスなども軍事ロボットの開発にしのぎを削る。韓国は北朝鮮との間の非武装地帯に、またイスラエルはパレスチナ自治区の飛び地、ガザ地区周辺に、それぞれ武装警備ロボットを配備している。