政府は19日、産業競争力会議と規制改革会議を開き、新たな成長戦略の素案と規制改革の答申をまとめた。労働力人口の減少で低迷する日本経済の成長力を底上げするため、ITやロボット、人工知能(AI)を積極的に活用するのが柱で、これによる「第4次産業革命」で30兆円の市場を創出する目標を掲げた。研究開発などの統括組織として閣僚や企業トップらが参加する「官民会議」を創設する構想も打ち出した。
安倍晋三首相は競争力会議で「第4次産業革命で新しいビジネスが生まれ、あらゆる産業が一変する可能性がある。スピード勝負で取り組む」と強調した。
成長戦略では、重点的に官民で取り組む成長分野として「健康」「環境」「スポーツ」「農業」「観光」など10分野を掲げ、それぞれに数値目標を設定。平成32年ごろの名目国内総生産(GDP)600兆円達成に向け、取り組みを加速する方針を示した。
さらに人材育成も重視し、32年以降、小中学校でコンピューターのプログラミング教育を必修化する方針を明記。大学、研究機関への企業投資を37年までに3倍に増やすことも盛り込んだ。海外の人材を呼び込むため、永住権取得に必要な在留期間を世界最短にするとした。
新設する官民会議は、民間から榊原定征経団連会長やIT企業トップらが参加し、3カ月に1回程度のペースで開催する方向だ。