日銀による異例の「マイナス金利」導入を受け、市場では「中国の人民元が一段と切り下げられる」との観測が高まってきた。中国は大幅な元安による資本流出を警戒しているが、マイナス金利による「円安・元高」に手をこまねくと輸出企業の競争力が低下するジレンマも抱える。元が切り下げられれば、日中の「通貨安競争」が現実味を帯びてくる。
「通貨をターゲットにしたものではない」
日銀の黒田東彦総裁は1月29日の記者会見で円安誘導かと問われ、きっぱり反論した。
マイナス金利は、銀行に積極的な貸し出しを促すとされるが、先に導入された欧州では目立った効果は出ていない。
それよりも、金利低下で円資産を保有するメリットが薄れて円が売られ、円安・ドル高が進む効果は大きいとみられる。2日の東京国債市場では、長期金利の指標である新発10年債の終値利回りが前日より0.015%高い0.075%と若干上昇したが、なお記録的な低水準。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「(日銀の)真の目的は通貨安誘導だ」と言い切る。