ペニャニエト政権は、原油安による財政悪化を受けた措置だとしているが、額面通りに受け取る関係者は多くはない。
メキシコの高速鉄道計画は、メキシコ市と中部の都市ケレタロを最高時速300キロで結ぶもので、経済成長を牽引する柱として、ペニャニエト政権が各国から参画する業者を募った。
三菱重工や川崎重工、ドイツのシーメンス、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)など世界の名だたる企業が動いたが、昨年11月の入札には中国鉄道建設総公司が率い、中国の車両メーカーの中国南車が中心となるコンソーシアム(企業連合)のみが単独応札し、落札した。
だが、その後、入札準備期間が短かったり不透明な手続きの実態が入札を断念した業者から暴露された。中国企業とペニャニエト政権が密約していたとする“八百長疑惑”までささやかれ、議会などメキシコ国内でも批判が高まり、とうとう政府は「入札手続きの透明性と合法性を確保する」として、異例の再入札に追い込まれた。