もし、これらと似たような疑惑が次々と日本の政府系金融機関やメガバンク、日銀で起きたらとすれば、トップや監督官庁に責任が及ぶどころか、政権が吹き飛んで、国政がマヒする恐れさえあるスキャンダルだ。だが、こうした事案にこと欠かず、小さな問題に見えてしまうのが中国。なにせ、香港紙メディアなどでは、周永康氏は、交通事故と見せかけて最初の妻を殺害していたとまで報じられるほどだ。
補助金は芳醇なフランスワインに?
不正の温床は、政府中枢だけではない。
フィナンシャル・タイムズによると、中国の地質学者はシェールガス調整に赴くとしていながら、カジノのメッカ、ラスベガスに寄り道していたことが発覚。海洋局の関係者は、南極探検に充てられた日程の半分をフランス、チリで過ごしていた。技術振興のため企業に拠出された補助金2億6800万元は、フランスのワイン醸造所に費やされていたという。
政権のプロパガンダを背負っている中国メディアでも不正が見付かった。ロイターによると、予算執行に対する監査で、新華社では未承認の海外出張で137万元を出費。人民日報発行のタブロイド紙は、政府調達を介さない電器製品の購入で660万元を支出していたという。
政治家、官僚、企業にあまねく広がる不正。汚職の根絶は、トラ1匹を仕留めるだけでは終わらないはずだ。